Regional Anesthesia in the patient receiving antithrombotic or thrombolytic therapy③
2010年 01月 29日
5.0 経口抗凝固薬内服患者の区域麻酔
ワーファリン内服患者の麻酔管理については議論があるところである。このガイドラインはワーファリンの薬物動態、ビタミンKの有用性と脊髄血腫の症例報告に基づいている。ワーファリンの投与については(www.WarfarinDosing.org)が参考になる。
5.1
最近までワーファリン投与を受けていた患者への脊柱管内ブロックの適応については注意が必要である。
投与中止1-3日ではINRが低下しても凝固系の回復は充分ではない。充分なレベルのII, VII, IX, X因子の活性はINRが正常化するまでは得られない。従ってブロックの4-5日前にはワーファリン投与を中止してINRの正常化を確認する。
5.2
アスピリン、NSAIDs、パナルジン、ブラビックス、未分画ヘパリン、低分子ヘパリンの併用は推奨しない。
5.3
ワーファリンの効果が増強すると考えれる患者では投与量の減量を推奨する。個々の患者へ適正な投与量についてはアルゴリズムができつつある。
5.4
もし手術前にワーファリンの初回量が24時間以内に投与されているか、2回目の投与が行われていればINRを確認する。
5.5
硬膜外鎮痛中の患者が低用量のワーファリン療法を受ける場合は通常のINRモニタリングでよい。
5.6
硬膜外鎮痛中の患者が硬膜外鎮痛を受ける際は,感覚、運動機能を適宜確認する。また、感覚、運動神経のブロックは最低限とする。
5.7
ワーファリンによる血栓予防が開始されるときは、硬膜外カテーテルはINRが1.5以下の時に抜去されるべきである。カテーテル抜去後24時間は神経学的所見を確認する。
5.8
INRが1.5-3の時は,他の抗凝固薬を内服していないことを確認後、注意してカテーテルを抜去する。カテーテル抜去後、INRが安定するまで神経学的所見を確認する。
5.9
カテーテル留置中の患者のINRが3以上の時はワーファリンを減量あるいはそれ以上増量しない。このような治療状態でのカテーテル抜去については推奨がない。
追記
ワーファリン内服患者の周術期管理
手術前
手術予定日の少なくとも5日前にワーファリンを中止する。
手術の1-2日前にINRを確認する。1.5以上であれば1-2mgのビタミンK投与を考慮する。
緊急手術では2.5-5mgのビタミンK投与、さらに迅速な回復には新鮮凍結血漿を考慮する。
血栓塞栓症のハイリスク患者では、
低分子ヘパリンの皮下注、あるいは未分画ヘパリンの静注でつなぐ
最後の低分子ヘパリンは手術の24時間前に半量を投与する
未分画ヘパリンの静注は手術4時間前に中止する
血栓塞栓症のリスクが低ければワーファリン中止のみ
術後
血栓塞栓症の低リスク患者
手術翌日から通常量のワーファリン再開
術前にヘパリン投与を受けていた患者
小手術:手術24時間後から低分子ヘパリン開始
大手術:手術48-72時間後から低分子ヘパリン開始
(American College of Physicianのガイドライン)
ワーファリン内服患者の麻酔管理については議論があるところである。このガイドラインはワーファリンの薬物動態、ビタミンKの有用性と脊髄血腫の症例報告に基づいている。ワーファリンの投与については(www.WarfarinDosing.org)が参考になる。
5.1
最近までワーファリン投与を受けていた患者への脊柱管内ブロックの適応については注意が必要である。
投与中止1-3日ではINRが低下しても凝固系の回復は充分ではない。充分なレベルのII, VII, IX, X因子の活性はINRが正常化するまでは得られない。従ってブロックの4-5日前にはワーファリン投与を中止してINRの正常化を確認する。
5.2
アスピリン、NSAIDs、パナルジン、ブラビックス、未分画ヘパリン、低分子ヘパリンの併用は推奨しない。
5.3
ワーファリンの効果が増強すると考えれる患者では投与量の減量を推奨する。個々の患者へ適正な投与量についてはアルゴリズムができつつある。
5.4
もし手術前にワーファリンの初回量が24時間以内に投与されているか、2回目の投与が行われていればINRを確認する。
5.5
硬膜外鎮痛中の患者が低用量のワーファリン療法を受ける場合は通常のINRモニタリングでよい。
5.6
硬膜外鎮痛中の患者が硬膜外鎮痛を受ける際は,感覚、運動機能を適宜確認する。また、感覚、運動神経のブロックは最低限とする。
5.7
ワーファリンによる血栓予防が開始されるときは、硬膜外カテーテルはINRが1.5以下の時に抜去されるべきである。カテーテル抜去後24時間は神経学的所見を確認する。
5.8
INRが1.5-3の時は,他の抗凝固薬を内服していないことを確認後、注意してカテーテルを抜去する。カテーテル抜去後、INRが安定するまで神経学的所見を確認する。
5.9
カテーテル留置中の患者のINRが3以上の時はワーファリンを減量あるいはそれ以上増量しない。このような治療状態でのカテーテル抜去については推奨がない。
追記
ワーファリン内服患者の周術期管理
手術前
手術予定日の少なくとも5日前にワーファリンを中止する。
手術の1-2日前にINRを確認する。1.5以上であれば1-2mgのビタミンK投与を考慮する。
緊急手術では2.5-5mgのビタミンK投与、さらに迅速な回復には新鮮凍結血漿を考慮する。
血栓塞栓症のハイリスク患者では、
低分子ヘパリンの皮下注、あるいは未分画ヘパリンの静注でつなぐ
最後の低分子ヘパリンは手術の24時間前に半量を投与する
未分画ヘパリンの静注は手術4時間前に中止する
血栓塞栓症のリスクが低ければワーファリン中止のみ
術後
血栓塞栓症の低リスク患者
手術翌日から通常量のワーファリン再開
術前にヘパリン投与を受けていた患者
小手術:手術24時間後から低分子ヘパリン開始
大手術:手術48-72時間後から低分子ヘパリン開始
(American College of Physicianのガイドライン)
by yamorimo
| 2010-01-29 22:39
| PNB