Regional Anesthesia in the patient receiving antithrombotic or thrombolytic therapy①
2010年 01月 27日
ASRA Evidence-Based Guidelines(Third Edition)
ASRAのガイドライン改訂版が出ています。SummaryはRegional Anesthesia and Pain Medicineの2010;35:102-105に、ガイドラインのすべては約40ページあります。ここではSummaryのさらに要約を掲載します。
2.0血栓溶解療法を受けている患者の麻酔管理
2.1
血栓溶解療法は、腰椎穿刺、くも膜下脊髄麻酔、硬膜外麻酔後10日間は避けるべきである。
2.2
血栓溶解療法後のくも膜下脊髄麻酔、硬膜外麻酔はできるだけ避けるべきであるが、何日間避けるべきかのデータはない。
2.3
繊維素溶解と血栓溶解療法中の患者に神経ブロックを行った場合は少なくとも2時間おきに神経学的チェックを行う。硬膜外カテーテルからの薬剤投与は感覚あるいは運動神経ブロックを最小限に留める。
2.4
緊急で繊維素溶解と血栓溶解療法を行うことになった場合のカテーテル抜去については結論はない。
3.0未分画ヘパリン投与中の患者の麻酔管理
3.1
日々その他の止血機構に関与する治療(抗血小板療法、低分子ヘパリン、経口抗凝固薬)について確認する。
3.2
ヘパリン5000単位2回投与の患者では神経ブロックの制限はない。
3.3
1日10000単位以上のヘパリンを投与されている患者では、術野からの出血のリスクは増すが、脊髄硬膜外血腫のリスクが増すかどうかは明らかではない。リスクベネフィットを考えて決定されるべきである。
3.4
ヘパリン投与が4日以上の患者ではHITの可能性を考慮してブロック前とカテーテル抜去まえに血小板数をチェックする。
3.5
神経ブロックと手術中のヘパリン投与は以下の条件で許容される。
3.5.1
他の抗凝固療法中の患者は避ける。
3.5.2
穿刺の1時間以上後にヘパリンを投与する。
3.5.3
カテーテルの抜去は最後のヘパリン投与から2-4時間後に凝固能を評価してから行う。ヘパリン再投与はカテーテル抜去の1時間後に行う。
3.5.4
術後患者の評価のためできるだけ低濃度の局所麻酔薬を用いる。
3.5.5
血性、あるいはブロック困難例はリスクが増す。このような症例で手術を延期するかについてはデータがない。術者とリスクベネフィットについてよく相談することを勧める。
つづく