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Intensive versus conventional glucose control in critically ill patients

Intensive versus conventional glucose control in critically ill patients.
N Engl J Med. 2009;360:1283


同じN Engl J Medに掲載された、van den Berghe Gらの論文以来、Intensive glucose controlあるいはInteisive Insuline therapyが注目されてきた。その後の追試では結果を疑問視するもののでてきたが、今回は否定的な結果を示した論文が発表されている。

NICE-SUGAR studyと名付けられたオーストラリア、ニュージーランドおよびカナダでの大規模研究は、血糖値を81-108mg/dlの間に維持する厳重血糖管理群と、144-180mg/dlで管理する従来型管理群を比較している。
90日後の死亡率は厳重血糖管理群で27.5%だったのに対して、従来型管理群で24.9%であり有意に低かった。厳重血糖管理群では循環器疾患による死亡が多かった。
一方、統計学的に有意差はなかったが、外傷患者とステロイド使用患者では厳重血糖管理群で予後がよくなる傾向がみられた。

(私見)
従来から対象疾患によって血糖管理による影響が異なる可能性が指摘されている。本研究でも特定の背景を持った患者では厳密血糖管理が有効である可能性について言及されている。今後は、厳重血糖管理を行うべき症例と、本研究での対照群の管理である140-180mg/dl程度で管理すべき症例の選別が必要になるのかもしれない。
これまでのエビデンスとして、高血糖は全身の炎症反応を増悪するなどよくないのは明らかである。また、多くの疾患で高血糖は予後不良のマーカーとされる。但しこの事実は高血糖そのものがわるいのが、二次的なものであるのかは明らかではない。ということで高血糖を強力にインスリンを投与してコントロールしてもそのことでアウトカムを改善できるのかどうかはまだ不明な点が多いように思う。少なくとも多くの研究で、厳密に血糖を管理することで敗血症など感染のコントロールに対しては有利な結果が得られている。
一方で、厳密に血糖をコントロールしようとするとどうしても低血糖になってしまう。低血糖は重症患者の管理においてはこちらも予後不良と関係しており避けなければならない。また、障害を受けている脳や心臓ではもしかするとブドウ糖の代謝が亢進していて軽度高血糖を細胞レベルでは求めているのではないかというデータもある。結局、多くの症例で血糖値は軽度高血糖を容認してもよいのかなとも思う。
by yamorimo | 2009-06-06 23:00
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