日本神経麻酔集中治療研究会
2009年 03月 28日
前日のイブニングセミナー、私とは兄弟弟子の関係にあるU山先生がセボフルラン麻酔と脳波に関する講演をされた。レミフェンタニル併用時に、セボフルラン濃度をどのくらいにするのか?これは演者によっても微妙に差があるところである。U山先生はBISモニタがない場合は、1.2-1.5%くらいを推奨されていた。内容的には大きく違わないのでこちらをご参照いただきたい。ひとつ注意したいのはプロポフォールでは濃度変化にたいしてBISや脳波があまり変化しないといわれていた点である。少し濃度を上げてバーストサプレッションが出る濃度を確認することを推奨されていた。TIVAの場合は脳波モニタとともに、就眠時のプロポフォール効果部位濃度を確認することが重要になってくるのだろう。
研究会当日は、「Awake craniotomyの麻酔管理」のシンポジウム。印象に残ったのは大阪大学の脳外科の先生の発表。脳腫瘍手術における脳外科領域の進歩は早い。電気生理はもちろん、脳磁図やPETなどのデータをMRIを一緒にニューロナビゲーターに放り込んで術中使用する。さらに術前に蛍光色素も飲ませておく。だめ押しで覚醒下手術もおこなうというスタンスである。
午後の特別講演は、大阪大学の山下先生(分子生物学)。主としてラットを使った脊髄機能再生についての研究の発表。中枢神経の回路が再生しないのは再生阻害因子の存在が一因であり、これらの阻害薬によりある程度再生が可能になる?たとえばこんなトライアルが行われている。ディスカッションでは、麻酔科サイドから感覚系、主にアロディニアについての質問が相次いだ。これは逆に余計な回路が作られるということなのかもしれない。ということで、中枢神経回路の再生や逆に余計な部分の刈り取りが自由にできるようになればいろいろ応用可能ということなのだろう。
このところ万年筆持参で学会系に参加している。メモを取るのが楽しいので、これまでよりも講演に集中できる。やはり筆記用具にはこだわりたいものだ。