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中心静脈穿刺をめぐる論点そのに

中心静脈穿刺に関するSH先生の方法を紹介します。いろいろ参考になるポイントがあると思いますので掲載しました。

>穿刺の基本方針(SH先生は穿刺針はエラスター派です)
私の方法に関してですが,
(1) 血管の走行を把握する.難しければこの時にエコーでみてマーキングする.
(2) 左手で皮膚に最小限のtensionを掛ける.
(3) パイロット穿刺で血管の位置を確認する.針の穿刺時には手首のスナップ
を効かせて,まず針を皮下に通す.(これは本穿刺の時にも非常に重要なテク
ニックです)
(4) 本穿刺用の針を持って,まず針先を皮下に進める.(3)と同様にスナップを
効かせる.(これをうまく行わないと皮膚を貫けないで血管まで圧迫することに
なる)
(5) 皮膚のtensionを左手でコントロールしながらパイロット針と並行に穿刺針
を進める.
(6) 逆血が確認できたら,針先を少し持ち上げるような感覚で穿刺針をさらに
寝かせて進める.この状態でも逆血が確認できればエラスターは完全に血管内
に入っているからここで保持する.(もちろんこのままエラスターを進めれば
カニュレーションできるが,そこまでする必要はないと思っています)
(7) エラスターを左手で保持してガイドワイヤーを挿入する.

>ガウンについて
ガウンに関しては現在の出張先では,そちらの方針に従って着用しています
が,大学では移植(これも一応決まり)以外私はガウンを着用しません.
麻酔科医は普段ガウンを着用しないためかガウンを着ると気が大きくなる傾
向があり,却って注意力が散漫になるように思っています.ガウンを着用し
ていない場合には手先に神経が集中されていますから,自分で手技を行う上
ではガウンは必要と思ったことはありません.

>金属針についての追加
金属針の最大の問題点は「針の固定」にあると考えています.これが確実に
行える技術があれば,金属針だってエラスターだって問題ありません.
特に3kg以下の小児などの場合エラスターの方が血管内にしっかり留められ
るのでよいと考えています.これも穿刺方法次第なんですが...

針が血管内に入ったら,針の角度をさらに小さくしながら針先を持ち上げる
ようにしてさらに進めます.針先を血管前壁に押しつけるような感覚でさらに
進めるのです.この方法だとまず血管の後壁を貫くことが無くなります.
3kg以下のbabyだと,これをやっても後壁を貫くこともありますが他の方法
に比べればガイドワイヤーが1回で挿入できる確率は高いと考えています.

エラスターの先端がある程度の長さ以上血管内に入るようになればガイドワ
イヤの操作に必要以上の注意を払う必要も無くなります.エラスターが動か
ないように内針をそっと抜いてやるだけでよいのです.ガイドワイヤがJ型で
あろうがstraightであろうが全く関係ありません.

岡山の先生が小児ではJ型のワイヤは難しいというような話をしていましたが,
それは穿刺の角度が大きすぎるという手技上の問題だと思っています.

小児の場合には血管を貫いてしまうと戻って来る時にどうしてもエラスターが
皮膚の弾力で動いてしまいがちになります.このことまで頭にいれた上で,
エラスターの固定がきっちりできないとガイドワイヤの挿入が難しくなります.
小児の穿刺が難しいのは単に血管が細いからだけでなくこういった点や,顎が
邪魔になって穿刺の角度が大きくなりがちである点などがあります.

「いかに血管を貫通せず,かつエラスターの外筒を確実に血管内まで誘導でき
るか」がすべての血管穿刺に共通する事項であると私は考えています.

>皮膚へのtensionについて
左手で皮膚にtensionを掛ける操作は非常に重要と思っています.エコーガイド
ではこれができないことが最大の問題と捉えています.外科的手技では左手がポ
イントになる場面が非常に多いと考えています.

>皮膚へのtensionはテープで上下に引っ張ってもよいのでは?
確かにテープで貼ってもある程度意味はあります.ただ,私がやっている
のはtensionを状況によってコントロールする事なんです.皮膚を穿刺する
時に最も張力を掛けて皮膚を貫き,針が皮下に入れば少しtensionを緩めま
す.手首のスナップを効かせた時に皮膚を支えるためにtensionを掛けるの
であり,その後は皮膚が針に付いて前方に動かないようにだけするのです.
これによって血管の扁平化を防ぎつつ,ある程度の速度で針を進めること
によって血管前壁をテント状に潰したりしないようにしているのです.穿
刺の角度を小さくしているのも血管を扁平化させないためです.また,恐
がって針をゆっくり進めすぎるのも血管を貫きにくくする原因です.
by yamorimo | 2008-10-04 01:05 | 中心静脈穿刺
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