麻酔と夢②
2008年 07月 12日
Dreaming during anesthesia and anesthetic depth inelective surgery patients. Anesthesiology 2007;106:33
300名の予定手術患者を対象とした。患者は覚醒時と術後2-4時間後に、夢をみたかどうかインタビューを受けた。麻酔導入から最初のインタビューまでBISを記録した。
覚醒時に夢をみたとする患者は22%だった。夢をみたとする患者とそうでない患者では麻酔時期のBISの中央値、BISが60以上だった時間ともに差はなかった。
夢をみたとする患者は、若く、男性、プロポフォールを維持に使った患者、あるいは局所麻酔を併用された患者で多かった。そして術後早期に覚醒した。
多くの夢は睡眠時のものと同様であり、不快なものではなく、手術の内容と関係はなかった。
本研究では全身麻酔中の夢は麻酔深度とは関係がなかった。睡眠時の夢との関連性は、多くの夢は覚醒前の鎮静状態のときに夢をみていることが示唆される。
私見と追加
麻酔科学会の時のパネルディスカッションではレミフェンタニルを使うと夢の頻度が増えたとする質問があったが、この研究ではレミフェンタニルの使用と夢の有無には関連はみられていない。プロポフォールによる維持は夢をみる頻度が33%と高い。TIVAでは夢をみやすいということはいえるのだろうが研究での症例数は33例しかないので今後の検討は必要だろう。
①の研究では女性の方が多かったが、今回は男性が多いということでこの辺りは面白い。
従来は夢は浅い麻酔の指標という意見もあったようだが本研究でのBISによる評価では否定的である。むしろ覚醒のさせ方などが大きいのかもしれない。