術中覚醒の論文に対するAspectのコメント
2008年 05月 03日
彼らの論文でのBISを使用した群での術中覚醒の頻度が0.21%というのは以前の論文(Lancet2004;363:1757)でのBISを使用した群での頻度0.17%と同様である。以前の論文でのstandard clinical practiceでの術中覚醒の頻度は0.91%であった。したがって今回の論文もBISの有用性を示したものと考えられる(ちょっと勝手な解釈か?)。
0.7MAC以上を維持するという対照群の設定はstandard practiceとは考えられない。
術後の覚醒の状況に関するデーターが示されていない。術中覚醒の有無だけで比較するのは適当でない。
術中覚醒を起こした症例ではBIS値が示されていない時間がある。
などです。
今回の結果では0.7MACというのがひとつのラインとして示されたと思います。とするとセボフルランでは約1.1%ですから、先のアンケート結果と併せるとセボフルランを呼気濃度で1.2%以上維持するというのは術中覚醒予防の観点からは推奨されます。
これ以下で維持するときに果たしてBISが役に立つのか?本当はここが知りたい部分なのかもしれません。
あとBISの有用性としては、セボフルランがいつの間にか空になっていた(今回の研究ではこれはモニターされているが)、ルートトラブルでレミフェンタニルが入っていなかった。などの場合が考えられますが、これらの有用性を示すにはもっと症例数が必要でしょう。