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レミフェンタニル投与後の鎮痛法(フェンタニルの持続静注)

 前回説明したように、手術中のみのフェンタニル投与では術後の効果持続は限られている。ことにレミフェンタニルの登場後はいずれにしても手術中のフェンタニル投与量は減っており、術後長時間の効果を期待するには、手術後も持続静注を行う必要がある。
 しかし持続静注もよく考えて投与計画を立てないと効果が発揮できない。教科書的には術後鎮痛目的の投与速度は0.5-1.0μg/kg/hである。そこで体重50kgの患者に100μgを投与後、0.5μg/kg/hで持続投与してみる(下図の上)。これでは持続静注開始後は一時的に効果部位濃度が低下してしまう。これまでは手術中にフェンタニルが投与されある程度の効果部位濃度が維持されていたので、スムーズに術後につなぐことができたが、レミフェンタニル麻酔では、フェンタニルへの移行は簡単ではない。

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 IV-assistを使ってフェンタニルを1ng/mlで維持する投与計画を立ててみる。ボーラスで40μgを投与後、90μg/hで35分、その後70μg/hで1時間56分(ボーラス投与後から)まで、50μg/hで4時間4分まで、35μg/hで9時間11分後まで、その後ようやく25μg(0.5μg/kg/h)となる。プログラム投与できるシリンジポンプがない現状ではICUで管理しない限り時間に応じて投与速度を変化させるのは困難かもしれない。
 解決策としては、やはり早めに投与を開始することだろう。例えば手術開始から上記の投与計画に沿って1ng/mlを維持しておけば、4時間程度である程度投与速度は安定するので、あとは0.5μg/kg/hで維持してもよいだろう。もう一つは手術終了前からボーラス投与を繰り返しておく方法。終了1時間前に100μg、その後30分ごとに50μgを2回投与し、25μg/kg/hを開始するとほぼ1ng/mlで維持できる(図下)。この辺りが現実的な投与計画になる。

次回はIV-PCAについて。
by yamorimo | 2008-01-23 21:26 | 術後鎮痛
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