レミフェンタニル投与後の鎮痛法(フェンタニルのtransitional opioid)
2008年 01月 22日
まず、フェンタニルのtransitional opioidについて。
超短時間作用性のオピオイドであるレミフェンタニルの投与後には、中時間あるいは長時間作用性のオピオイドを投与しておいてから覚醒させることが勧められている。これをtransitional opioidという。もちろん、術後痛がNSAIDsで充分コントロールできる低侵襲の手術や硬膜外麻酔などの神経ブロックでコントロールできる場合は必ずしも必要ない。
そこで体重50kgの患者に100μgした場合のシミュレーション(図の上)。100μgの1回投与ではフェンタニルの効果部位濃度は30分程度で1ng/ml以下に低下する。これでは手術終了時に投与したとしても、病室へ帰室したときには痛みがでてしまう。
そこで、100μgの投与後50μgを30分ごとに2回投与した場合を示す(図の下)。こちらの方が濃度低下は若干緩徐になる。実際にはこの程度のフェンタニルとNSAIDsの併用は、開頭手術後などであれば比較的有用だ。
もう少しフェンタニルの投与量を増やしてみる。
手術時間を3時間として、手術開始時にも100μgを投与した場合(図の上)。
あるいはもっと分かりやすく、術中TCIで2ng/mlで投与した場合(図の下)。これだと1ng/mlに低下する時間はまさにCSHTになるので分かりやすい。図は3時間投与した場合だが、当然投与時間が長くなればもっと緩徐に濃度は低下する。これで不足する術中の鎮痛をレミフェンタニルで補うことになる。尚フェンタニルのTCI投与は、TivaTrainerのIVAssist機能でほぼ実現できる。
このようにフェンタニルの使用になれた麻酔科医の場合、それなりの量のフェンタニルを併用している人が多いのではないだろうか?
次は、持続静注への移行について。