婦人科手術とilioinguinal nerve block
2007年 03月 17日
両側のilioinguinal nerve blockの有用性について婦人科開腹手術で検討した。
術式はよく分からないが恐らく子宮摘出術が主な対象の様子、麻酔は全身麻酔のみ。
ミダゾラム5mg経口の前投薬で、麻酔はプロポフォールとsufentanilで維持した。
患者は麻酔導入後、デキサメサゾン4mgとミトクロプラミド20mgを手術開始前に投与されている(この辺りが今風の麻酔なのだろう)。
術後痛対策は、アセトアミノフェン(1g)とケトプレフェン(100mg)を静注(ロピオン2Aくらいの感じだろうか?)とPCAのモルヒネ。
ilioinguinal nerve blockは手術終了後で患者の覚醒前に施行(ブロックの方法は推薦図書を参照、あるいはCan J Anesth 2002;49:694)。薬剤としては0.5%アナペイン15mlと0.5μg/kgのクロニジン(恐らくこれを両側に)。コントロール群は同量の生食注入(これはブロックのリスクだけ負わせるので本当にいいのだろうか?)している。
結果は当然、ブロック群ではPCAのモルヒネ使用量が有意に少なく(なんと51%)、その結果術後の嘔気も少なかったという結果。特に術後早期のVASはかなり低いのでよく効いている印象がある。
(私見)
今回の研究ではsufentanilだが、レミフェンタニルを使った症例の術後鎮痛として今回のような手術終了時の神経ブロックは考慮されるべきだろう。これからはこの種の症例に対して、患者に硬膜外併用の全身麻酔、全身麻酔+末梢神経ブロック、全身麻酔のみを提示して選んでもらう時代になるのではなかろうか。今回の結果でいえば全身麻酔+末梢神経ブロックで充分そうだ。
尚、ilioinguinal nerve blockを安全確実に行うにはやはり超音波ガイドということになります。