脳虚血とBIS
2007年 03月 04日
それでは手術のなかでも最も脳虚血の危険の高いCEAではどうだろう。これまでの報告ではあまりあてにならないとするものが多かった。
Bonhommeらは、CEAの頸動脈クランプ時のBISについて検討し、47%で上昇、25%で低下、28%で変化しなかったと報告した。BISは低下するものよりもむしろ上昇することが多かったという報告で興味深い。実は私自身も同様の症例でBISをみていると変化なしか、むしろ上昇することに気付いてはいた。この症例報告をみてもらうと分かるが、クランプ中に脳波は低振幅、徐波化しこの時BISはやや上昇している。ただ一例報告なのであえてこの事実にはふれなかった。惜しいことをした。
BISが何故上昇するのか?これは論文中にもいろいろ考察されているが、脳波が平坦化する前にBIS値が上昇するparadoxical increaseと同じ現象なのだろう。BISの特性としてfail upwardというコンセプトがあるといわれる。術中覚醒を防ぐため、迷ったら高い値をとるというのは理にかなっているが、術中BIS値が上昇したときはいろいろな可能性があることは知っておく必要があるだろう。