超音波を使った鎖骨下静脈穿刺
2006年 12月 19日
鎖骨下静脈は正確には超音波ガイド下の穿刺は困難である。当然ながら血管に当たるのは鎖骨の下なので上手く描出することはできない。あくまでも鎖骨の上下からみて走行を確認するだけということになる。これだけでも肺までの余裕などいろいろ情報を得ることができる。
超音波ガイド下に穿刺するにはもう少し末梢の腋窩静脈でということになる。以前麻酔科の先輩から、腋窩から鎖骨下までいろいろな所で静脈を穿刺できるワザをみせていただいたことがある。解剖に精通した達人にしかできなかったことが今では超音波の助けで可能となった。
まず、上肢を体側ではなく45度から90度外転する。これで鎖骨が上に上がってプローベを置いて穿刺するのにスペースができる(①)。角度については何ともいえないが、鎖骨が上がれば充分だろう。
次に、鎖骨下の外側で体軸に平行にプローベを置いて鎖骨下静脈、動脈と胸膜を確認する(②)。少しプローベを動かして血管の走行を確かめて針の刺入点を決定する。
通常の鎖骨下穿刺より2cm程度末梢で血管に垂直にプローベを置く感じだろうか。
あとは、交差法でアプローチする。針先を確実にみるにはかなり針を鋭角に刺入する必要がある。見ている人にはかなり怖いが、胸膜と針先を確認している限り気胸はないはず。プローベを少し寝かせてもよいかもしれない。またスペースがあれば、平行法も可能だ。この辺りの方法は自分でもまだ迷っている部分があるのでご批判、ご意見があればお願いしたい。
文献としては、Br J Anaesth 93(2):188-92,2004と90(5):589-95,2003が参考になる。個人的には鎖骨下での腕神経叢ブロックの応用と思っております(上記の写真でも動脈周囲に神経が確認できる)。
なお本法の使用に関してはあくまでも自己責任でお願いします。内頚静脈などで超音波ガイド下での穿刺に慣れてからがよいと思います。
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