デスフルランの使用は終わりを迎えようとしている
2025年 03月 21日
そろそろデスフルランの使用は終わりを迎えようとしている。
地球環境の限界を超えたことにより、21世紀には複数の世界的危機が差し迫っている。医療は気候危機の要因の一つであり、欧米諸国では温室効果ガス排出量の約5%を占めている。麻酔科では、必要性が明確でないにもかかわらず、非常に強力な温室効果ガスであり揮発性麻酔薬でもあるデスフルランが、総排出量の3分の2を占めている。その使用は、簡単な措置で大幅に削減できる。本研究では、デスフルラン気化器を撤去し、その使用を制限することなくチームに情報を提供することで、適切かつタイムリーな使用削減が達成できるかどうかを調査した。
方法
この研究は、2021年から2022年の12か月間、約1250床のドイツの大学病院で実施され、2017年までの前年度の同期間と比較した。介入は、まずデスフルラン気化器の除去、次に揮発性麻酔薬の気候への影響に関するスタッフ教育であった。主要評価項目は、麻酔処置1回当たりのCO2換算の催眠関連排出量の削減であった。
結果
2021年3月28日から2022年3月27日にかけて、前向きデータ収集と介入が行われた。揮発性麻酔薬を用いた麻酔処置1回あたりのCO2換算排出量は、介入前の年と比較して86%減少した(p < 0.001)。興味深いことに、処置前の年にはすでに52.1%の減少がみられた(p < 0.001)。セボフルランやプロポフォールの使用量には大きな変化は見られなかった。催眠剤関連の費用は14,549ユーロ減少したが、抜管時間には大きな変化は見られなかった。
結論
ドイツの大型教育病院の麻酔科では、デスフルラン気化器の撤去とスタッフのトレーニングにより、排出量を迅速かつ大幅に削減できる。これはコスト削減にもつながる可能性がある。