論文査読に対するインセンティブの影響
2025年 03月 09日
個人的には論文の査読を無料で行うのはそろそろ止めるべきであり妥当な報酬が提供されるべきと考えている。この検討ではあまり影響がないのだがこれはCritical Care Medicineというこの分野では権威ある雑誌だからかもしれない。私は年間20くらいは査読しているので1回250ドルなら結構な収入になるのだが、、、
目的:
査読は通常、専門家がボランティアで時間を割いて研究を審査する。このプロセスは、適格な査読者が不足している可能性がある学術誌にとっては課題であり、論文の処理が遅れたり、最適なレベルよりも審査が徹底されないという結果につながる。私たち(研究者)は、Critical Care Medicine誌で査読を完了させるために金銭的インセンティブを提供した場合の影響を実験的に検証した。
デザイン:
交互治療デザインを用いた準ランダム化盲検介入研究。
設定:
集中治療医学(CCM)という査読付き専門誌。
対象:
2023年9月から2024年3月までの6か月間(2週間の休暇期間を除く)、CCMから研究論文の査読依頼を受けたすべての査読者。
介入:
2週間のブロックを交互に、査読依頼を受諾した場合に250ドルが支払われる旨を記載した招待状(治療)または現金提供のない標準的な招待状(対照)を査読者に送付した。インセンティブ付き招待状に応じた査読者には、ジャーナルから250ドルの小切手が送付された。
測定と主な結果:
主な結果は、査読依頼から査読完了への転換率であり、これは提出された査読報告書の数を査読依頼の数で割った値として定義された。副次的な結果には、「期限内の」転換率、査読依頼の受諾率、査読依頼受諾までの時間、査読報告書提出までの時間、および査読の質が含まれた。715件の査読依頼が送られ、そのうち414件(57.9%)にはインセンティブのオファーが含まれていた。インセンティブ付き招待状の218件(52.7%)が受理されたのに対し、対照群では144件(47.8%)であった。インセンティブ付き招待状では、対照群よりも査読報告書の提出につながった割合が高かった(49.8% [206/414] vs. 42.2% [127/301]; p = 0.04)。「生存分析」では、インセンティブ付きの招待状が送られたものは平均してより早く完了した(Cox比例ハザード比、1.30 [1.04–1.62]; p = 0.02)が、これはレビュー時間が約1日(11日対12日)短縮されたことに対応する。提出された333件の査読者報告書のうち、205件(61.6%)が編集者によって評価されたが、研究群間で査読の質に差は認められなかった。
結論:
査読報告書の完成に対する現金インセンティブの提供により、専門医学誌の査読を完了する招待査読者の割合がわずかに増加した。