手術中のミダゾラムの使用は術後せん妄に関係しない
2025年 01月 17日
背景:
ミダゾラムは短時間作用型のベンゾジアゼピン系薬剤であり、周術期によく使用される。本研究は、非心臓手術を受ける高齢患者における術中ミダゾラムの術後せん妄への潜在的影響を調査することを目的とした。
方法:
この研究には、2020年4月から2022年4月の間に中国各地の複数の病院で全身麻酔を受けた65歳以上の患者が含まれた。7日以内に発生した術後せん妄は、3分間版Diagnostic Interview for Confusion Assessment Method(3分版DICAMS)を用いて評価した。ミダゾラム投与と術後せん妄発生との関連性を判定するために、ランダム効果に基づく単変量および多変量ロジスティック回帰モデルが用いられ、リスク比および95% CIとして示された。ミダゾラム投与を受けた患者と受けなかった患者の間で、術後せん妄発症までの時間の分布を比較するために、カプラン・マイヤー累積発生率曲線がプロットされた。ミダゾラムと術後せん妄との関連性を調査するために、特定の集団に基づくサブグループ解析が実施された。
結果:
合計5,663人の患者が対象となり、そのうち723人(12.8%)が術後せん妄を発症した。 異なる病院のランダム効果に基づく単変量および多変量ロジスティック回帰分析では、高齢患者においてミダゾラム投与と術後せん妄との間に有意な関連性は認められなかった(未調整リスク比、0.96;95% CI、0.9 0~1.30;P = 0.38;調整リスク比、1.09;95% CI、0.91~1.33;P = 0.35)。Kaplan-Meier曲線では、術後せん妄発症までの時間の分布に差は認められなかった(ハザード比、1.02;95%CI、0.88~1.18;P = 0.82)。サブグループ解析の結果、特定の患者サブグループでは、術中ミダゾラム投与は術後せん妄と関連していなかった。
結論:
非心臓手術を受ける高齢患者において、ミダゾラムの術中投与は術後せん妄のリスク増加と関連しない可能性がある。