術前の貧血と高齢者の手術患者の予後や認知機能低下
2024年 12月 28日
術前の貧血は高齢者の手術患者の予後や認知機能低下と相関していた。今後は術前に可能な限り貧血の補正を行うことが重要になるだろう。
この研究は、手術前の貧血と認知機能の関係、およびこれらが手術結果に与える影響を調査することを目的とした。対象は65歳以上の高齢患者で、術前のヘモグロビン(Hgb)値と認知機能スクリーニングデータが収集された。研究では、貧血の程度と認知機能の低下、および手術後の退院先や1年後の死亡率との関連性を解析した。
結果、8,643人の患者のうち26.7%が貧血であり、軽度、中等度、重度の貧血がそれぞれ16.8%、9.5%、0.4%だった。ヘモグロビン値が低いほど認知機能が低下し、貧血の程度が高いほど術後の退院先や1年死亡率に悪影響を及ぼすことが確認された。具体的には、貧血のない患者に比べて、軽度の貧血患者の死亡率は2.7倍、中等度以上の貧血患者では3.6倍高くなった。
この研究は、貧血、認知機能の低下、慢性疾患が手術後の結果に強く影響することを示しており、世界保健機関(WHO)や他の医学団体が推奨する患者血液管理(PBM)の重要性を強調している。特に鉄欠乏性貧血は、安全かつ効果的に治療できるため、手術前に最適化することが重要。未治療の貧血患者に手術を行うことは、標準以下のケアと見なされるべきである。
この研究は、高齢患者に対する術前の貧血管理の重要性を再確認した。