手術中の低血圧治療におけるフェニレフリンの使用は術後せん妄と関連する
2024年 12月 12日
これは面白い。術中の血圧低下時にはエフェドリンがいいのか。
この研究は、手術中の低血圧治療におけるフェニレフリンの使用が、血管収縮を通じて脳血流を低下させ、術後せん妄と関連する可能性があることを調査しました。2008年から2020年にかけて、マサチューセッツ州の2つの三次医療施設で全身麻酔を受けた非心臓、非神経外科手術の患者103,094人が対象です。主要な曝露はフェニレフリンとエフェドリンの投与で、主要な結果は術後7日以内のせん妄発症でした。
研究の結果、手術中にフェニレフリンを投与された患者の76.6%、エフェドリンを投与された患者の23.4%が含まれました。調整後の解析では、フェニレフリンの投与はエフェドリンの投与と比較して、術後7日以内にせん妄を発症する確率が高いことが示されました(調整オッズ比1.35)。さらに、45,465人の患者を対象としたサブセット解析でも、同様の結果が得られました(せん妄発症率3.2%、調整オッズ比1.88)。また、フェニレフリンの累積投与量が増えるとせん妄のリスクも増加することが示されました。
結論として、全身麻酔中にフェニレフリンを投与することは、エフェドリンと比較して術後せん妄のリスクが高いことが明らかになりました。これらのデータに基づき、フェニレフリンよりもエフェドリンを低血圧治療に優先することが術後せん妄の軽減に寄与するかを確認するための臨床試験が必要です。
この研究は、手術中の脳血流が低下することが術後せん妄の発症と関連することを示し、フェニレフリンの使用によるリスクが示されています。