GLP-1受容体作動薬と胃内容
2024年 12月 05日
GLP-1受容体作動薬は糖尿病の治療薬です。
製品名としてはビクトーザ、オゼンピック、トルリシデイ、マンジャロなどがあり1日1回あるいは週一回皮下注するタイプの治療薬です。内服薬としてはリベルサスがあります。膵β細胞上のGLP-1受容体に選択的に結合しATPからcAMPの産生を促進させることにより、グルコース濃度依存的にインスリンを分泌させる他、血糖値が高い場合にはグルカゴン分泌を抑制する作用があります。SGLT2阻害薬と同様にちまたではやせ薬としても使用されている様です。
今回JAMAの論文でGLP-1受容体作動薬は胃内容を増加させるので全身麻酔時には注意が必要という論文がでましたので紹介します。
この研究は、グルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬(GLP-1 RA)の使用が増加している背景に基づき、特に麻酔下の誤嚥リスクに関連する周術期の安全性について評価している。研究の目的は、胃内超音波検査を用いて、GLP-1 RAの使用と胃内容残量(RGC)の増加の関連性を調査することである。
2023年6月から7月にかけて実施されたこの研究では、大学病院の患者が参加した。患者は手術前に絶食ガイドラインに従っており、特定の条件を持つ患者は除外された。週1回のGLP-1 RA使用者(曝露群)と非使用者(対照群)の間でRGC増加の有無を比較した。
結果として、GLP-1 RAを使用していた患者では、非使用者に比べてRGC増加が高いことが分かった(56%対19%)。交絡因子を調整した結果、GLP-1 RAの使用はRGC増加率を30.5%増加させると判明しましたが、中断期間とRGC増加の関連性はみられなかった。この結果は、誤嚥リスクが高い患者において、現行の処置前絶食期間が不十分である可能性を示唆している。