超音波ガイド下での肋間上腕神経(ICBN)の近位および遠位アプローチ
2024年 10月 29日
肋間上腕神経ブロックは上肢手術でも腋窩付近の鎮痛に必要ですが、その手技は確立されていません。この論文では肋間上腕神経ブロックの最適な部位について検討しています。手技についてはまた後日紹介したいと思います。
背景 超音波ガイド下での肋間上腕神経(ICBN)の近位および遠位アプローチによる神経ブロックは、上腕および腋窩手術の鎮痛を促進するが、成功率は様々であり、臨床比較は行われていない。本研究では、上腕動静脈シャント手術における鎖骨上腕神経叢ブロックの補助としての麻酔および鎮痛効果を比較した。
方法 上腕動静脈シャント術を受ける末期腎疾患患者60名を無作為に抽出し、レボブピバカインとリドカインにエピネフリンを混合した10mLを使用して近位または遠位ICBNブロックを実施した。主要評価項目はICBNブロックの成功であり、ブロック実施後30分での上腕内側および腋窩の皮膚知覚遮断と定義した。副次的な結果には、ブロックの実施、ブロック関連の合併症、外科麻酔の実施率、術後鎮痛が含まれた。
結果 近位アプローチでは腋窩の感覚遮断の割合が高かった(96.7% 対 73.3%、p=0.03)が、内側上腕では同等の割合であった(96.7% 対 96.7%、p=1.00)。その結果、近位アプローチの方が全体的な成功率は高かった(96.7% 対 73.3%、差:23.3%; 95% CI:6.3%, 40.4%; p=0.03)。 両群とも、麻酔の成功率は93.3%と類似していた。 施術時間、施術時の痛み、術後の痛みの強度に有意差は認められなかった。
結論 近位ICBNブロックは、ほぼ確実に上腕内側および腋窩の感覚を減弱させたが、遠位ブロックの4分の1は腋窩を温存した。両アプローチは、鎖骨上腕神経叢ブロックと併用することで、上腕動静脈シャント手技に有効であった。しかし、近位アプローチがより有効である。