手術期の区域麻酔と術後のオピオイド使用、慢性痛の関係
2024年 09月 30日
Anesthesia and Analgesia 139(4):p 711-722.
このような結果は区域麻酔を日々実践している立場としては嬉しいです。
背景:
現在、区域麻酔が慢性術後痛の発症に影響を与えるかどうかについては議論の余地があり、オピオイドの長期使用への影響を評価した研究はほとんどない。我々は、非心臓手術を受ける成人患者に対する区域麻酔がこれらの結果に及ぼす影響について系統的に調査することを目的とした。
方法:
MEDLINE、EMBASE、CENTRAL、CINHALで系統的な検索を行い、非心臓手術を受ける成人患者を対象に、いずれかの局所麻酔法を評価し、以下の主要評価項目のいずれか1つを含む無作為化対照試験(開始から2022年4月まで)を抽出した:(1)術後のオピオイドの長期使用(術後2か月以上のオピオイドの継続使用)、(2)慢性術後疼痛(術後3か月以上の疼痛)。特定のアウトカムについてランダム効果メタアナリシスを実施し、エビデンスの質を評価するために GRADE(Grading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluation)アプローチを用いた。
結果:
37件の研究がレビューに含まれた。統合推定値は、区域麻酔がオピオイドの長期使用の減少に有意な効果があることを示した(相対リスク[RR] 0.48、95% CI、0.24–0.96、P = 0.04、I2 0%、5件の試験、n = 348人の患者、GRADEの質は低い)。慢性疼痛に関する統合推定値でも、3か月目(RR、0.74、95% CI、0.59–0.93、P = 0.01、I2 77%、15試験、n = 1489患者、 GRADE 中程度の質)および術後6ヵ月(RR、0.72、95% CI、0.61–0.85、P < 0.001、I2 54%、19試験、n = 3457患者、GRADE 中程度の質)であった。術後12ヵ月時点のプール解析では、効果は認められなかった(RR、0.44、95% CI、0.16–1.17、P = 0.10)。
結論:
本研究の結果は、区域麻酔が術後6ヵ月までの慢性術後痛を軽減する可能性を示唆している。また、持続的なオピオイド使用の減少の可能性も示唆している。