腹部脂肪組織と慢性痛の関係
2024年 09月 29日
腹部脂肪組織と慢性痛の関係。非常に興味深い研究ですね。
RAPM 2024
はじめに 筋骨格系の痛みは通常、複数の部位に発生するが、過剰な内臓および皮下脂肪組織が筋骨格系の痛みと関連しているかどうかを調査した研究はない。 そのため、本研究では、MRI から得られた腹部脂肪組織と、複数の部位にわたる広範囲の慢性筋骨格痛との関連性を明らかにすることを目的とした。
方法 大規模な前向きコホート研究であるUKバイオバンクのデータを使用した。 内臓脂肪組織と皮下脂肪組織を定量化するために、2回の画像診断時に腹部のMRIスキャンを実施した。 該当する診断時に、首/肩、背中、臀部、膝、または「全身」の痛みを評価した。 混合効果順序/多項/ロジスティック回帰モデルを分析に使用した。
結果 合計32,409人の参加者が対象となった(女性50.8%、平均年齢55.0±7.4歳)。多変量解析では、内臓脂肪組織、皮下脂肪組織、およびそれらの比率と慢性疼痛部位の数との間に用量反応関係が認められた(女性:内臓脂肪組織: OR 2.04(95% CI 1.85~2.26);皮下脂肪組織:OR 1.60(95% CI 1.50~1.70);およびその比率:OR 1.60(95% CI 1.37~1.87))と男性(内臓脂肪組織: OR 1.34(95% CI 1.26~1.42)、皮下脂肪組織:OR 1.39(95% CI 1.29~1.49)、およびその比率:OR 1.13(95% CI 1.07~1.20))。脂肪組織のレベルが高いことは、男女ともに慢性疼痛を訴える可能性が高いこととも関連していた。これらの脂肪測定値の効果推定値は、男性よりも女性の方が比較的大きかった。
結論 腹部脂肪組織は慢性筋骨格痛と関連しており、過剰な異所性脂肪沈着が複数の部位にわたる広範囲の慢性筋骨格痛の病態に関与している可能性があることを示唆している。男性よりも女性の方がより強い効果が認められたことは、脂肪分布とホルモンにおける性差を反映している可能性がある。