ARBと麻酔導入時の血圧低下に関する研究
2024年 09月 19日
ARBと麻酔導入時の血圧低下に関する研究。種類による差は考えていなかったのでなるほどと。よい研究ですね。
確かにミカルディス(テルミサルタン)には痛い目にあったことがある。
背景
手術前のアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の中止または継続については、依然として議論が続いている。これは、半減期の異なるARBが個別に研究されていないためであると我々は仮定した。このレトロスペクティブ研究では、半減期の異なるARBの間で、麻酔導入時の低血圧の程度が異なるかどうかを明らかにすることを目的とした。
方法
半減期がそれぞれ約24時間および約6時間であるテルミサルタン(T群)またはバルサルタン(V群)を定期的に経口投与し、全身麻酔を施行した患者を対象とした。麻酔導入中の低血圧の頻度および昇圧剤の使用頻度と使用量を両群間で比較した。当院では、全例で術日にARBを休薬した。
結果
T群とV群にはそれぞれ190例と132例の患者が含まれた。V群ではカルシウム拮抗薬の使用との関連が有意に強かった。他の併用降圧薬、心血管合併症、腎機能については有意差は認められなかった。麻酔導入時の平均動脈血圧が60mmHg未満であった時間は、T群の方がV群よりも有意に長かった(11分対7分、0.030)。昇圧薬を使用した患者の割合は、T群の方がV群よりも有意に高かった(74.2%対56.0%、0.001未満)。
結論
テルミサルタンを投与された患者は、バルサルタンを投与された患者よりも、全身麻酔導入時に血圧が低下し、手術当日に投与を中止した後でも、その傾向は続いた。