Posterior quadratus lumborumと帝王切開後の鎮痛効果
2024年 09月 08日
Posterior quadratus lumborum block versus intrathecal morphine analgesia after scheduled cesarean section: a prospective, randomized, controlled study
腰方形筋ブロックは一時期の魔法のブロック期が終わりTAPブロックと変わらないのでは期に入っています。この研究では帝王切開の術後鎮痛効果を検討し、くも膜下モルヒネと同等との結果を得ています。簡便さではくも膜下モルヒネでしょうが、既往でかゆみが強かった等のケースでは試してみてはどうでしょう。
要旨
背景 予定帝王切開術の術後において、モルヒネくも膜下投与はマルチモーダル鎮痛法として有効であるが、重大な副作用を引き起こす可能性がある。両側後方腰方形筋ブロックが代替的に使用される可能性がある。本研究の目的は、マルチモーダル鎮痛レジメンの一部として、両手法の有効性と安全性を比較することである。
方法 本研究は前向き無作為化盲検比較試験である。104人の分娩患者を無作為に選択し、脊椎麻酔下の帝王切開時にモルヒネくも膜下投与または後方腰方形筋ブロックを行った。主要エンドポイントは、患者管理による24時間のモルヒネ静脈内累積使用量とした。副次的評価項目は、48時間累積モルヒネ使用量、静的/動的疼痛スコア、機能回復(ObsQoR-11質問票)、副作用であった。
結果 24時間後の平均累積モルヒネ使用量に統計学的な群間差はなかった(腰方形筋ブロック群:13.7(97.5%信頼区間:10.4~16.9)mg、モルヒネ投与群:11.1(97.5%信頼区間:8.4~13.8)mg、p=0.111)。疼痛スコアは、6時間後に腰方形筋ブロック群で咳嗽/動作時の疼痛が低値だったことを除いては、群間差を示さなかった(p=0.013)。24時間後の回復の質は腰方形筋ブロック群で良好であった(p=0.009)。掻痒はモルヒネ髄腔内投与群でより頻度が高かった(35% vs 2%): 24時間後のモルヒネ累積投与量は、腰方形筋ブロック群ではモルヒネ投与群と差がなかった。後方腰方形筋ブロックは、帝王切開術後の鎮痛において、モルヒネくも膜下投与の代替となりうる。