Preoperative N-terminal Pro–B-type Natriuretic Peptide and High-sensitivity Cardiac Troponin T
2024年 09月 03日
今後は術前の心機能評価に加わるか?
背景
非心臓手術を受ける患者の心血管合併症のリスクはさまざまである。この研究では、主要な非心臓手術の心血管イベント予測を強化するために、術前のN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)と高感度心筋トロポニンTを評価した。
方法
この前向きコホート研究は、中国の4つの病院で待機的主要非心臓手術を受けた心血管疾患または危険因子を有する成人患者を対象とした。NT-proBNPおよび高感度トロポニンT(hs-TnT)測定のため、手術前30日以内に採血を行った。主要アウトカムは術後30日以内の心血管イベントの複合とした。関連性の評価にはロジスティック回帰モデルを用い、予測性能は主に受信者動作特性曲線下面積(AUC)と新たな予測情報の割合を用いて評価した。
結果
2019年6月から2021年9月の間に、合計2,833例の患者が組み入れられ、435例(15.4%)が主要転帰を経験した。臨床変数と両バイオマーカーを含むロジスティック回帰モデルでは、NT-proBNP分布の75パーセンタイルと25パーセンタイルを比較した場合、主要転帰のオッズ比は1.68(95%CI、1.37~2.07)、hs-TnTでは1.91(95%CI、1.50~2.43)であった。各バイオマーカーは、臨床的予測因子を超えてモデルの識別性を高め、AUCの変化はNT-proBNPで0.028、高感度心筋トロポニンTで0.029、新しい情報の割合はそれぞれ0.164と0.149であった。両バイオマーカーを組み合わせたモデルが最も識別性が高く、AUCの変化は0.042、新しい情報の割合は0.219であった。
結論
術前のNT-proBNPとhs-TnTはともに、臨床的評価に加えて非心臓手術後の心血管イベントの予測を改善し、それらの組み合わせは最大の予測情報を提供した。