続新型コロナウィルスに関する私見
2020年 11月 28日
一時落ち着いていたコロナですがここにきて第3波といわれる陽性者数の増加がみられるようになってきました。GOTOキャンペーンの見直しが報道されています。それでは私たちはどうしたらいいのか再度私見を述べてみたいと思います。
1.情報
コロナが中国で報告されてから1年弱ですが改善されないと思うのはマスコミの報道です。新規感染者数の増加を強調したり、観光地の人混みで一般の方にインタビューするなど不安を煽っているとしか思えません。ワイドショーでもにわか専門家が増えてあれこれコメントされているのですがどうも要領を得ません。
私は必要な情報はほぼ東洋経済ONLINEの新型コロナウイルスと国内感染の状況をチェックするだけでよいと考えています。
まず年齢別の陽性者数をみてみましょう。
検査陽性者数ですがこれは大まかな状況は分かるものの検査数にも左右されるの絶対的なものではありません。特に初期の頃と比べると検査数は増えていますし、余裕のある地域では1名の陽性者が出ると周囲の人は広範囲に検査されますので今の新規感染者数が第1波と比べてどうだというのは意味がありません。
現在の状況が分かりやすいのは実効再生産数です。11月26日の全国の実効再生産数は1.13です。最近では11/11頃がピークで1.5からゆっくり下がっているところです。これまでもそうですが感染者数が増えると一定の行動抑制効果があり感染者数が減少していきます。
次ぎに重症者数です。重症者数は徐々に増加傾向です。重症者はいきなり重症というよりは感染の経過で重症化していくのでどうしても陽性者数の増加よりも遅れて変動します。また1度重症になると回復までに時間がかかってしまいます。こうなると累積で医療機関の入院患者が増えてしまい負担が増加します。もしGOTOの見直しなど対策を行うのであればもっと早期に行うべきだったというのが私の考えです。
GOTOキャンペーンが感染者を増やしたエビデンスはないというのは政府の説明ですが、見直しに関しては国民に危機感をもってもらうアナウンス効果にはなったと思います。陽性者が多いのは都市部であることからGOTOイートに関しては問題があったと思います。
死亡者数も同様に増加傾向です。現在累計で2000名を超えたところ。1日20名を超える状況になってきました。もちろん欧米諸国と比べると桁が一桁から二桁違います。1年に2000名なら亡くなられた方々には申し訳ありませんが、季節性インフルエンザや交通事故レベルなのでこの1年は最悪の事態は避けられたと考えたいです。
このページでは県別のデータもみることができます。
実効再生算数(11/26)(ひとりの患者が別の人に感染させた人数。1以上だと感染者は増加する)
東京都:1.1
北海道:1.04
大阪府:1.25
愛知県:1.21
兵庫県:1.28
など。東京はほぼピークを越えておりむしろ近畿地方が深刻かもしれません。最初に陽性者数が増えた北海道は落ち着いてきたのではないでしょうか。このように定期的に東洋経済ONLINEをチェックするだけで自分の県の状態をある程度把握することができます。
2.対策
対策は基本的には当初いわれた3密の回避とマスクの使用、手洗い。に尽きると思います。
感染は患者の口から放出される飛沫やエアロゾルといわれる微少な粒子の中のウィルスが他の人のやはり口や鼻から侵入することで成立します。これにはいつくかのパターンがあります。
①患者の皮膚や衣服についているウィルスを手で触る。ウィルスのついた手を自分の口元にというパターン。これは手洗いで対応可能です。
②患者の口から放出される飛沫が直接自分の口周囲に(これは考えにくい)あるいは自分の体に付着して手で触る。その他テーブルやイスなどに付着することで、これを触ってしまう。飛沫は重いので重力によって落下する。まずはソーシャルディスタンスを取る。マスクで飛沫の放出を抑制する。あとは自分の手洗い。
③患者の呼気中から放出される微少な粒子(エアロゾル)中にウィルスが含まれ環境中を漂うことでこれを吸引してしまう。エアロゾルとはタバコの煙のようなものと思えばよいです。軽いので空気中を漂います。カラオケのような場所、大きな声での会話では放出量が増える。またウィルスが直接肺に到達すると重症化しやすのではといわれています。
これも基本マスクの使用が必要。マスクにより人からの放出を抑制するとともに自分への吸入量を減らすことができる。政治家がよく使用している口元のシールドは飛沫を抑制するかもしれないがエアロゾルには無効。自分は対策しているよというファンション的な物です。
これだけでは徐々に空間中の濃度が上昇するので定期的な換気が必要。また湿度を高めることでエアロゾルを重くして空気中を漂う量を減らすことが期待できます。
ここでのポイントは室内ではマスクを全員が着用し、定期的な換気と加湿を行う。大声で話す、歌うなどの行動は避ける。ただ換気を重視してこれから冬期に窓を開け放して寒さを我慢するというのは本末転倒です。定期的な換気でよいです。
私見ではありますがGOTOキャンペーンで観光地に行くこと自体はそれほど問題ではないと考えます。むしろ飲食店の利用が増えたことが問題ではないでしょうか。どうしても会話しながら食事をすると飛沫やエアロゾルの放出が増えてしまいます。さらに接待を伴うみたいな場所だと人同士の接触機会も増えますので高リスクです。なのでしばらくは家族以外との外食は止めた方がよいです。カラオケも同様です
屋外での行動については2m程度の距離が取れれば心配ないでしょう。
3.マスク
このようにマスクの使用はコロナ対策の基本です。一時は不足していたマスクも最近では供給量が増えてきました。ただファンションのようにマスクを付ければよいというわけではありません。
最も効果があるのは不織布マスク、いわゆる使い捨てのマスクです。布や化学繊維のマスクは一般的には不織布マスクよりも性能は落ちます。ただ不織布マスクも高いからといって何日も使い回していたら危険です。また上部の針金部分を自分の顔の形に合わせて息がマスクの周囲から漏れないようにします。鼻がマスクから出ているのもNGです。その上で、例えば通勤の電車内で不織布マスク。職場に着いたら破棄。仕事中は息のしやすい布マスク。また帰りに不織布マスクみたいなローテションが考えられます。
マスクの脱着時はヒモの部分を持つようにします。マスク部分の内部にはもしかしたらウィルスが付いているかもしれません。脱着操作後は手洗いです。
一方、屋外で他者と2m以上離れていればマスクは不要です。屋外の空気中に感染する可能性があるほどのウィルスが浮遊している訳ではありません。ただ空気が乾燥する冬期は喉の乾燥を防ぐ意味はあるので気になれば着用して下さい。
4.医療機関からみて
医療従事者としてひとつ気になっているのは患者さんの受診抑制です。調子が悪くなってもコロナが怖くて病院に行かずいよいよ悪くなって受診したり救急車で搬送されたときには手遅れというケースを散見します。もちろん病院というのは不特定多数の人が集まります。実際に病院内でのクラスターの発生もあります。しかしそれを恐れてい病気が悪化するまで病院を受診しないのも考え物です。同様に検診なども抑制がみられています。通常通り検診を受け調子が悪くなったら病院受診をお願いします。コロナで命を落とす可能性は低いですが癌を放置すると治るものも治らなくなります。
5.今後
今後3週間我慢ということですのでとりあえず人の移動を制限して各自でもう一度対策を見直せば現在の波は沈静化すると思います。ただ今後も第4波は来ますので常に注意が必要です。
医療機関についてはもう少し政府の援助やコントールが必要と考えます。病院はもちろんですが高齢者施設は非常に緊張した中この1年経過しました。今後はこのような施設で集団感染が起こらないような積極的な対策が必要でしょう。ワクチンについては有効性と安全性の両面からもう少し経過を見る必要があると思います。高齢者などリスクの高い層から開始するのは妥当です。リスクの低い年代は安全性が確立してからで充分です。ということで、とりあえず人に頼らず自分でできることを。過度に恐れず正しく恐れるということで少し落ち着いた新年が迎えられるように頑張っていきましょう。