交響曲、ピアノ曲ときて3番目に紹介したいのはピアノ三重奏曲。最も有名なのは第7番の大公である。
ピアノ三重奏曲はピアノとバイオリン、チェロのトリオで演奏される。ジャズトリオの元祖みたいなものと思えばよいだろう。
大公が効果的に登場するのは村上春樹の「海辺のカフカ」である。同書を読めば大公の解説からお勧めのCDまで載っているの読んでみるとよいだろう。私も海辺のカフカを読んでからこの「大公」のファンになったクチである。
小説中ではルービンシュタイン、ハイフェッツ、フォイアマンの大公トリオ(別名100万ドルトリオ)の演奏が登場する。歴史的にはコルトーらが演奏したSP時代のカザルストリオも有名である。私のお勧めはケンプがピアノを弾いてる盤で1969年録音だがステレオ録音、大公トリオは1941年録音でモノラルなのが残念。ケンプは前回紹介したバックハウスと比べるとやや渋めだが堅実な演奏で安心して聴くことができる。
「海辺のカフカ」によると大公ことルドルフ大公はベートーベンの弟子として深く尊敬し実社会ではベートーベンを援助していたという。そんな2人の関係が垣間見えるやさしさに満ちた名曲。秋の夜長にはぴったりだ。ケンプのCDなら1000円で入手可能。クラシックのコスパは非常に高い。