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レミマゾラムとBIS

先日に続きレミマゾラムの話題

私自身はレミマゾラムを使ったことはないが使用する上で懸念しているのは脳波(BIS)モニターの有用性である。
レミマゾラムとBISについての研究はまだないのでミダゾラムとBISで考えてみる。ミダゾラムとBISや脳波変化について読んでおきたいのは大阪の小田先生らの研究である。
この研究ではミダゾラムを0.2あるいは0.3mg/kg投与して脳波変化をみている。ミダゾラムによる麻酔中の脳波変化として著者らはミダゾラムの濃度変化によってSEF95は変化しない。BISは60以上であり鎮静レベル以上の濃度でもバーストサプレッションはみられなかったと報告している。
この機序としてプロポフォールや吸入麻酔薬はGABAA受容体に結合し麻酔作用はフルマゼニルによって拮抗されないのに対してミダゾラムはGABAA受容体の一部であるベンゾジアゼピン受容体に結合し麻酔作用を発揮しフルマゼニルによって拮抗される。つまり麻酔作用が異なることが原因ではないかと考察されている。ベンゾジアゼピンではプロポフォールや吸入麻酔薬のような深い鎮静状態にはならないのか、単に脳波変化が異なるだけなのかは分からないがこのように脳波変化が大きく異なることは頭に入れておいた方がよいだろう。治験ではBISは50台まで下がっているがこれは併用したレミフェンタニルの影響であろう。覚醒に15分程度かかっていることから治験時の麻酔レベルは深すぎると考えられるがこれをうまくBISでコントロールできるのかは使用後の課題である。

ちなみにBISはプロポフォール、イソフルランとミダゾラムの3種類の麻酔薬で開発されている。本来うまく使えるハズなのだが1997年のGlassらの論文をよく読むとやはりミダゾラムではBIS値は下がってもせいぜい50までで他の麻酔薬とは明らかに異なっている。

ということでレミマゾラムを使用する際は添付文書通りの投与量で維持した後、手術終了にはBISの反応をみながら少し投与速度を下げる必要があるのかもしれない。レミフェンタニルのdoseによるBIS値の変化も検討する必要があるだろう。

by yamorimo | 2020-07-10 21:12
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