新型コロナウィルスについての私見その⑦
2020年 05月 17日
新型コロナウイルスに関する私見シリーズ。ようやく一服という状況になってきました。これも緊急事態宣言から大型連休まで長期間にわたっておおくの方が生活を変えStay Homeを実践された結果だと思います。何はともあれお疲れ様でした。
1.現状
今日の全国での新規感染者は27人、東京都も5人です。全国で1万人を超えていた患者数は半分まで減少しました。但し、まだ亡くなられる方もいらっしゃいます。多くの医療現場ではまだ病気と戦っている方々がいらっしゃることを忘れてはいけません。またまだまだ医療の現場でマスクやガウンの入手困難が続いています。
2.今後の見通し
これからはゆっくりとコロナ前の状態に戻っていくフェーズに移行していきます。ここで頭に入れておかないといけないのはこの感染症の潜伏期が2週間あることです。現在の状態は2週間前、連休中の状態を反映しています。従って連休後のやや人の動きが多くなった状態を反映して今後再度患者数が増加する可能性はあり得ます。韓国でクラブでの集団発生が起こったように少なくとも3月末の緊急事態宣言前の状態くらい。依然として狭い会場でのライブや長時間の会議を避けるなどの取り組み。外出時のマスク着用や頻回の手洗いは当面続けていく必要があります。
3.検査と医療体制
今後は患者数が減っている時期を利用して次ぎの患者数の増加に備えておく必要があります。インフルエンザと同様に寒い季節に再流行するとすると秋から冬にかけて次の波が予測されます。そこまでにどのような備えをしておくのかが重要です。特に次はインフルエンザとの混合で流行してきますので発熱した患者さんをどのように診ていくのか?行政、医師会、病院間でよく体制を考えておく必用があるでしょう。現在まで新型コロナウイルス感染で国内で亡くなられたのはまだ1000人以下でインフルエンザの年間死亡数にも及びませんコロナだけに備えておけばよい訳ではないのです。
今後の医療の鍵はまず検査です。これまで行われてきたPCR検査に加えて抗原検査と抗体検査が可能になってきました。
PCR検査は喉の奥あるいは唾液の中にあるウイルスのRNAを検出する方法です。検体の中のRNAを数を増やして測定します。測定にはそれなりの設備と熟練した技師さんが必要です。
抗原検査はPCR検査とほぼ同じですが、ウイルスの持つ蛋白質に反応する方法です。インフルエンザの検査と同様に簡単な測定器で短時間に結果を得ることができます。今後は病院レベルでは抗原検査が主体になるのではないかと思われます。欠点は感度が低いことでPCR検査と比べて8割程度の陽性率といわれています。陽性であれば診断できますが、陰性の場合は臨床症状や他の検査を合わせて考えて、疑わしい場合はPCR検査を行う必要があります。しかし短時間に結果のでる検査法が確立されれば臨床的には非常に役に立つはずです。
もう一つは、抗体検査です。こちらも各種の簡易検査キットが発売されていますがまだまだ信頼性が低そうです。抗体は感染後1週間程度で患者の体内に作られてウイルスとの戦いに重要な役割を果たします。したがって抗体検査は発熱患者の診断には使いにくいですが、退院の判断に使ったり、広範囲の人を検査してどの程度の人が感染したのかを後で調べるのには有用です。但し、一度できた抗体がどの程度の期間継続して存在するのかが分かっていません。
4.治療
今後期待されるのはワクチンと治療薬です。
ワクチンは今世界中で開発されています。現在開発されているのはインフルエンザの様に有精卵を使って製造する方法ではなく、ウイルスの構造の一部をワクチンとして使用する技術です。開発ととともに有効性や安全性の確認作業が必要ですので今年中に使用可能になればいいなというところではないでしょうか。
治療薬はウイルス自体を抑制する薬とその他の因子を抑えて重症化を抑制する薬に分かれます。詳細はこちらを参照して下さい。
5.日本のこれまで
マスコミでは批判されがちですがここまで日本の感染者数と特に死亡者数は世界と比べて非常に低く経過しています。これにはいくつかの要因が考えられますがそれでもよく分からない因子がありそうです。この辺りを調べていくのは意外に重要ではないかと考えています。これまで分かったのは感染した人の中でも多くは無症状、あるいは軽い風邪症状で経過する。しかしごく一部の人が重症な肺炎から全身のウイルス感染で命を落とすということです。この重症化の要因はまだ分かっていません。幸運にも海外のように悲惨な状況にはならなかったのですが次はどうなるか分かりません。しっかりとこれまでの対応を検証して次ぎに備えておく必要があります。
6.今後のポイント(しばらくはウイルスを共存する覚悟)
頻回の手洗いとマスクの着用(マスク着用による熱中症に注意)
三密を避ける
その中でコロナ前の生活への復帰
在宅での仕事などの継続
体調不調時は無理せず休む
by yamorimo
| 2020-05-17 23:41
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