新型コロナウィルスについての私見その⑤
2020年 05月 02日
2020年5月1日
いよいよ5連休です。私のような医療従事者はやっと休みなのですが、在宅や当面仕事休みの方々はStay Homeが苦痛になってくるころかもしれません。全国的な緊急事態宣言で基本的には感染が抑制されてきていますのでもう一息頑張っていきましょう。
1) 現状
今日の専門家会議の報告にもあったように全国的に感染者数の増加は抑制されてきています。私が毎日チェックしているYahooの集計だと本日の新規感染者は189名で昨日よりも27名減少。一方退院者は515名でしたので今日に限っては全体の患者数が減少しました。退院者は日によって増減があるもののこの1週間は増加傾向です。このままゆっくりと患者数が減少すれば医療機関の負担も減っていくと期待されます。この5連休でStay Homeが継続できれば少し明るい未来がみえてくるのではないでしょうか。一方で人工呼吸器やエクモが装着された重症患者さんはまだ減っていません。
心掛けないといけないのはこの休みで緊張が緩みつい人の多いところへ外出してしまうことです。例えば子供さんを公園へ連れて行くのはよいのですが、人の密集度などをみて早目に切り上げて帰るという判断も重要です。3月の3連休ではその前に学校再開というアナウンスがあったこともあり花見などで外出が増えてその後の感染者増加につながりました。しっかりと感染者が減少するまで御協力をお願いします。
2) 今後
とはいえこの状態をこのまま続けていくことはできません。緊急事態宣言は延長されそうですがそれでも少し緩める方向に向かうと思います。また地域によっても対応が変わるのかもしれません。
今後は緊急事態解除、国内の交通再開、海外との交通再開とゆっくりコロナ前の状態に戻っていく必要があります。これには検査体制の充実や治療薬、さらにワクチンの開発。大規模な抗体検査による獲得免疫のチェックなどが伴っていく必要があります。
その意味での長期戦が重要です。在宅ワークはそのまま当たり前になっていくかもしれません。医学系の学会もオンラインで開催に移行していくのではないでしょうか。野球も無観客でみる方はオンライン飲み会やりながらというスタイルになるのかもしれません。本当は人というのは実際にあって話したいものですがしばらくはオンライン中心で。そんなことも考えながら5連休を過ごして下さい。
3) 治療
現在最も有望な治療薬はレムデシビルとファビピラビル(アビガン)です。ウイルスは人の細胞内で自分を複製するのですがどちもらそれを抑制します。体の中でウイルスが増えるのを抑える薬と思えばいいでしょう。レムデシビルは元々エボラ出血熱のために開発されていた薬、アビガンは日本で従来の薬剤では治療できない新型インフルエンザが登場したときのために備蓄されていた薬です。レムデシビルについては有用とする報告と効果なしという報告があり画期的に効くというものではないのかもしれません。海外で承認されれば国内でも特例で早期に使用が承認される見込みです。注射で使用するので自分で食事ができない重症例に使用されるのではないでしょうか。
アビガンはすでに国内に備蓄がありますので国内では臨床研究という形で使用できるようになっています。石田純一さんや宮藤官九郎さんが使って症状が改善したと報道されています。内服で使用するので軽症から中等症の患者に使用されると思われます。
最近症状として注目されているのは脳梗塞などの血管内の血栓症です。肺だけでなく全身の血管がダメージを受けることと血が固まり易くなるのが原因です。多彩な症状を呈する新型コロナウイルスですが医療の世界ではコロナ情報だけは多くの権威ある医学雑誌が無料で文献を提供してくれることで世界中で情報の共有が容易になっています。これも新しいコロナ後の世界のメリットなのかもしれません。
世界中の製薬メーカーは今全力で新薬を開発していることと思います。私の病院のグループ会社もアビガンの製造に参加すると報道されています。ある程度短時間で診断できる方法が確立しとりあえず自宅で内服治療が可能になればこのウイルスとの付き合い方もインフルエンザと同様になります。今回の感染が収束した後、もう一度感染者が増えても今回よりはずっとましな戦いができると予想(期待)しています。
4) みえてきたこと
今回ほど都道府県の長が注目されたことはありません。平時では分からなかった力量が明らかになるのが緊急時です。国も同様です。与党、野党、省庁など。そしてマスコミ。どこも真価が問われています。しっかりとみさだめて将来に生かしていきましょう。