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イベルネクチンは世界を救うか?

イベルネクチンは世界を救うか?

昨年偶然買った本が「世界を救った日本の薬」講談社ブルーバックスである。

ちょうど出身高校の100周年であり高校OBでノーベル賞を取られた本庶佑先生の講演会を拝聴した後で勉強してみたいと思ったのがきっかけだった。

本書は日本で開発された薬が14種紹介されているのだがそのトップがイベルメクチン、2番目が抗インフルエンザ薬で新型コロナ肺炎治療に期待されているファビピラビル(アビガン)である。3番目は本庶先生。ところが本来寄生虫の治療に使われてきたイベルメクチンにも新型コロナ肺炎への効果が期待されている。

イベルメクチンは北里研究所で研究されていた大村智先生らが発見された薬剤である。大村先生はこの功績で2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞されている。

大村先生らは1974年に静岡市のゴルフ場から採取された土から新種の放線菌を発見した。放線菌からはストレプトマイシンやその他多くの抗生物質が見つかっている。この菌の培養液をマウスに投与すると寄生虫が激減することが分かった。共同研究していたメルク社はさらに水素分子を添加することが活性を向上させることに成功しイベルメクチンと命名して動物の寄生虫駆除薬として、その後ヒトの寄生虫駆除薬としても発売された。

熱帯の風土病であるオンコセルカ症(河川盲目症)は線虫の感染によって引き起こされ、失明してしまう。このオンコセルカ症の治療薬としてイベルメクチンは非常に有効であった。もた同じく線虫がリンパ系の働きを阻害するリンパ系フィラリア症に対しても有効であり、2012年には世界中でなんと3億人以上に投与されるまさに世界を救っている薬である。

その作用機序は寄生虫の神経細胞や筋細胞に存在するグルタミン酸作動性塩素イオンチャネルに結合することで塩素イオンの細胞膜の透過性が亢進し、神経伝達を阻害、神経細胞や筋細胞を麻痺させると考えられている。

一方、イベルメクチンはその他の作用があり、細胞質のタンパク質を核内へ運ぶ分子インポーチンと結合して、核内移行を抑制すること、そしてこの結果様々なウイルスタンパク質の核内移行が阻害されることで抗ウイルス作用を持つことが報告されていた

これまでにエイズやデングウイルスで増殖抑制作用が報告されており、さらに新型コロナウイルスにも有効性が期待されている。

まだ論文はパブリッシュされていないようだがすでに臨床使用も開始されているようだ。世界を救ってきた薬がまたまた世界を救うことができるのか今後の研究に期待したい。


by yamorimo | 2020-04-25 21:24 | その他
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