私の住む山口県宇部市はこれまで奇跡的に患者ゼロでしたが、今週ついに陽性患者さんが発生しました。驚いたのはこの患者さんの個人情報はほとんど公開されなかったのにSNSを通じて一気に公開されたことです。患者さんの立ち寄ったとされる飲食店やスーパーそして最初の搬送先は当分人が寄りつかなくなるのではと危惧されます。私見の①で書いたようにウィルスももちろん怖いのですがもっと怖いのは未知の恐怖に怯える私たち自身です。あくまで冷静な対応をお願いしたいと思います。風評被害でお店や病院がなくなったらその後の生活に大きな支障がでてしまいます。
まず意識したいのは地域差です。東京、大阪、北海道、茨城、埼玉、千葉、神奈川、石川、岐阜、愛知、京都、兵庫、福岡は「特定警戒都道府県」です。これらの地域では患者数の増加が顕著で特に警戒が必要な地域です。厳重なstay homeでお願いします。また、家に飽きたからといって他の地域に出ないように。実家が家にあるからと移動するのも厳禁です。自分が感染源になり周囲に広がると大変なことになります。
その他の地域は現在は、「特定警戒都道府県」と比べると患者数が少ないのですが、警戒が必要な地域です。例えばゴールデンウィークに患者の多い地域から少ない地域へ人が移動することで全国的に感染が広がってしまう可能性があります。今回の緊急事態の全国展開は予防的な意味があります。従って今は自分の住んでいる地域は患者が少ないから安心ではなく、警戒地域に準じた対応が必要です。自分から警戒地域に行き感染して帰るなどということのないようにお願いします。
では東京の状況はどうでしょう。私の先週の予測では新規患者数は400名/日まで増加するとしていましたが、ここ1週間はほぼ横ばいで経過しました。もう一息患者数の減少傾向までいければ少し先がみえてきます。
一方で問題となってきたのは医療機関の機能不全です。
マスコミでは医療崩壊という言葉をよく使いますが私は好みません。しかし、東京では院内感染が発生した医療機関では機能を制限せざるを得ないため残りの医療機関の負担がさらに増すという状況になっています。
何故院内感染が起こるのか。多くの医療機関ではコロナ患者と並行して通常の患者さんの治療を行っています。院内感染の多くはこの通常の患者さんが感染源あるいは医療従事者サイドが原因になっています。最近の報告ではコロナ肺炎の症状が出る直前くらいが感染力が最も高いとされています。全く無症状の患者さんや職員ひとりでも感染源となりひとつの病院の機能を停止してしまうのです。これはこの感染症の恐ろしいところです。
理想的にはすべての入院患者、さらに病院職員も定期的にPCR検査を行わないと院内感染を防ぐのは難しいと思います。
さらに医療の状況を悪化させているのが消耗品の不足です。本来マスクはひとりの患者さん毎に交換する必要があります。しかしマスクの不足で1枚を複数日使用している施設が多いのが現状です。さらに新型コロナ肺炎疑いの患者さんには高機能のN95マスクと顔のシールド、さらに防護服が必要ですがこれらが不足しています。大阪市で雨ガッパを募集していましたがこのような代用品で何とか対応している現実があります。早く収束に向かわないと多くの施設が院内感染で戦線を離脱していき本当に崩壊していく危険があります。
報道で救急車の行き場がないことが伝えられています。これも多くの救急施設がコロナ肺炎への対応で手一杯なのが原因です。
これまでは発熱した患者さんは、まずインフルエンザの検査を行い、陰性であれば通常の患者と同様に対応可能でした。今はコロナを除外診断する必要があるので時間がかかります。PCR検査を行うと結果がでるのに数時間必要です。胸部CT検査も診断に有用ですが、他の患者さんへの感染を防ぐために疑い患者への使用後はしばらく使えません。こうして救急対応可能な人数は大幅に少なくなってしまいます。発熱だけでなく交通事故で怪我をしても救急受け入れのキャパシティーが低下しているのでどこの施設でも受け入れてもらえないかもしれません。
地方でも同様です。今感染地域に行った既往があり現在発熱が続いている方の受け入れはどこの病院でも受け入れに慎重にならざるを得ません。
そんな意味でもstay homeです。外出を避けて感染しない以外に。さらに事故をしない。自分の健康状態に常に注意する。など心がけて下さい。毎週、次の1週間が正念場と思って書いてきましたがいよいよ来週が山場かなと思います。感染がピークから減少に転じるまでもうひと踏ん張り頑張りましょう。