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電脳麻酔ブログ

日々読んだ論文の要約とAIの臨床での活用法について

新型コロナウィルスについての私見

新型コロナウィルスについての私見(FaceBook投稿文を再編集)

新型コロナいよいよ東京や大阪方面では深刻な状況になってきました。医療関係でないみなさんも政府の非常事態宣言をきっかけにして今が非常時だということを認識ししかも冷静に行動して下さい。

新型コロナの発生以来、日本はいち早く学校を休校にしたり、感染経路を追跡して濃厚接触者を調べることで周囲への感染の波及を防止するなどで一定の効果を発揮してきました。できるだけ社会機能を維持しながら感染を制御するというアプローチです。
ただここに来てそれらの対応が都市部では限界に来ています。東京で注目されるのは感染経路が追えない患者が増えてきたことです。診断されていない陽性患者が都市部では一定の割合で存在すると考えるべきです。
都市部だけではありません。北九州市の病院では外傷で入院していた患者がコロナ陽性であり院内感染が起こりました。現在当然ながらすべての入院患者に対してコロナの検査を行っていません。隠れた陽性患者が入り込む可能性を考えると職員を含めて病院内での感染の危険は相当高いです。そうなると一定期間その病院の機能は低下しますので治療に支障が出てしまいます。
これまで検査はある程度抑制してピンポイントで行ってきましたが、これからは東京を中心にどんどん検査して陽性になったら自宅待機かホテルで経過観察としていくしかないでしょう。ホテルの稼働率は落ちているので経済対策と思えば一石二鳥ではないでしょうか。

この状況で自分を守るには、極端にいうと十分な食料を買い込んで当面家に籠もるのが1番。外に出ないということ。これが外出自粛の理由のひとつです。
完全に外出しないのは無理だろうから、実際には不要不急の外出を避けることになります。緊急事態になっても食料品店やコンビニは維持されますのであわてて買いだめする必要はありません。食料品の購入などで外出する際はマスクを着用しできるだけ人との接触を避ける。支払いもキャッシュレスが安全。家に帰ったらマスクを外して手洗い。
マスクは政府が配ってくれるという布マスク(手作りでOK)でよいので頻回に洗濯。
コロナ疎開と称して都市部の人が感染者の出ていない地方へ行くのは厳禁。すっと家がストレスなら周辺を散歩するくらい。知っている人に会ってもできるだけ会話しない。屋外でも人が密集している場所は危険。ウィルスは手すりなどの金属表面では長期に生存するのでできるだけ物に触らない。やはり帰ったら手洗い。

仕事は在宅で済むのならそれが1番。やむをえず出社する場合でも頻回に手洗いです。不要な会議は電話やメール、書類の回覧で済ませるべきです。

多くのクラスターでは無症状の若年者がいろいろな集まりに参加して、他の人に感染させています。人から感染させられないことも大事ですが、もしかすると自分が人を感染させる可能性があることも頭に入れておいて下さい。これが外出自粛のもうひとつの目的です。知らないうちに感染して知らないうちに治っている幸運な人は多いはずです。

感染経路について再度おさらいすると、
感染は主として会話時や咳をしたときに唾液や痰に含まれて患者から放出。
これが人に直接かかる。あるいは物の表面に付着しそれを人が触る。
手を無意識に口周辺に。
感染成立。
という経路です。
マスクは直接飛沫がかかるのを予防したり手で口を触るのを予防するのに有効。外すときはヒモの部分を持って外し、すぐに手洗い。
ウィルス自体は布を通過するほど小さいが上記の目的であれば有効。薬局で買える紙マスクでは花粉は抑制できてもウィルスは通過する。そう考えると布と大差ないかもしれない。
安倍さんはうまく説明できなかったが医療機関に使い捨てのマスクを配分するためにも一般の人は布マスクを使用してもらいたいというのがあったと思います。
あとはマスクを過信せずに頻回に手洗い。アルコールがなくても石けんで充分洗えばOK.

今後の予想ですが、今週は徐々に感染者が増加しましたが爆発的ではありませんでした。これが来週どうなるか。うまくいくと先々週くらいから始めた外出抑制の効果が出てくるかもしれませんし、逆にどんどん増加して制御不可能になってしまうかもしれません。日々報道に注意です。

最終的には、
①多くの人が感染し免疫ができる
②インフルエンザのように簡易検査が可能になり有効な薬剤ができる
③ワクチンが完成し接種が始まる
④ウィルスが変異して毒性が弱まる
などが起こらないと収束は難しいです。
このままでは夏休みくらいまでは外出の自粛や学校の再開は無理かもしれません。今は緊急事態でない地域もこれから感染者が増えてくるかもしれません。長期戦ですがポイントを押さえれば若い人が過度に恐れる必要はありません。家に長くいることが暇だったらその後の世の中で何が必要かを考えるといいと思います。ピンチはチャンスです。覚悟して頑張りましょう。

追記(治療について)
新型コロナ肺炎はウィルスによる感染症です。感染症を引き起こすのは主に細菌とウィルスです。細菌は小さな生物ですので、抗生物質が有効です。多くの抗生物質は人にはない細菌の細胞壁の合成を阻害することで作用を発揮します。
ウィルスはDNAあるいはRNAといった遺伝子のみを持つ生物と非生物の中間的な物質です。特定の動物の細胞内に入った後に細胞内のいろいろな仕組みを利用して自分を複製します。単体では長期間存在することはできませんし移動する子こともありません。基本とても小さな寄生獣です。但しコロナは金属などの表面では2日程度存在できるようです。ウィルスによる感染症で有名なのは肝炎やインフルエンザ、麻疹、帯状疱疹、エイズなどです。細菌とはまったく違うので抗生物質は無効で対応はワクチンで予防するのが主になります。
ここ10年くらいで抗ウィルス薬もいくつか登場しました。インフルエンザに対するタミフルが最も有名です。不治の病であった肝炎やエイズも抗ウィルス薬やその他の治療薬によりコントロール可能になってきました。もちろんウィルス個々で違いがありますのでタミフルはコロナへの効果は期待できません。
日本で開発された抗インフルエンザ薬のアビガンはウィルスのRNAの合成を抑制する作用を持っています。タミフルとは作用機序が異なるのでいざというときのために備蓄されています。インフルエンザと同じRNAウィルスであるコロナウィルスに対しても有効ではないかといわれており期待されています。催奇形性があるので若年者には注意が必要ですがリスクの高い高齢者では今後積極的に使用されていく可能性があります。国内で新型インフルエンザに対して大量に備蓄されているのも有利な点です。
治療薬が確立するまでは対症療法です。インフルエンザにかかっても寝ているしかなかった10年ほど前と同じで安静にして経過をみるのが基本です。ここまではかならずしも病院に入院する必要はありません。今後はホテルで経過をみることになりそうです。
重症になると肺での酸素の取り込みがうまくできなくなるので酸素の吸入が必要になります。このような状態では食事や水分摂取も困難になるので点滴で水分や栄養を補給することも必要になるでしょう。このような状態にあるのが患者の15-20%程度の様です。今後は重症患者が適切な医療機関で治療が受けられることが最も重要なことです。医療機関のキャパシティーを超えてしまうと本来救命できる重症患者も救えないということになってしまいます。
酸素投与でも改善しない場合は人工呼吸器を使用します。現在世界中でこの人工呼吸器の確保が課題になっていると思われます。人工呼吸器は心臓手術のような大きな手術の後でも使用しますので感染の状況によっては不要不急の手術は制限するという対応も必要になってきます。
さらに重症になると患者の血液を体外に引き出して酸素化して戻すというエクモという治療が必要になります。全体の雰囲気は透析のようなものです。但しエクモにしても患者の生命を維持するのが目的なのでウィルス自体は自分の免疫力で克服するしかありません。


by yamorimo | 2020-04-07 20:38

by yamorimo
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