セボフルラン:後発品との差はあるか?③
2014年 07月 23日
A Double-blind comparative study between generic sevoflurane and Sevorane.
RevBras Anesthesiol 2010;60:466
ブラジルには4種類のセボフルラン製剤がある。
1.アボットのSevorane(PEN容器+水300ppm)
2. BioChimico社のGeneric Sevoflurane(ガラス容器、水は65ppm)
3. Sevocris(ガラス瓶で、ルイス酸阻害薬としてproplene glycol入り)(これは面白そう)
4.Baxter(日本でセボネスとして発売されていたモノ)
2.が日本国内で発売されている後発品と同じかどうかは不明。
この研究では、1と2をブラインドで麻酔に使用して臨床的に差があるのかどうかを検討している。
グループは2群で先発のセボフルラン使用群とジェネリック使用群。症例は計64例。雑多な手術が対象になっているが半数近くが胆嚢摘出。
麻酔は前投薬にミダゾラム7.5mg(これを拮抗するため全例フルマゼニルを覚醒時に投与)。
フェンタニル、プロポフォールで導入し、セボフルランで維持。フェンタニルは5µg/kgを初回、あとはSEFが15Hzを超えたら0.1µg/kgを追加投与。面白い投与法だが、追加量が少なくないだろうか?BISが40-45になるようにセボフルラン濃度を調節。
手術終了15分前に一回換気量を50%に減らして自発呼吸の出現を促すというプロトコール。これも面白い。
術中の血圧、心拍数、SEFとBISを記録。
麻酔終了から覚醒までの時間を記録。
術中のパラメーターに群間差なし。
麻酔終了から開眼までの時間、セボフルラン群13.9分、ジェネリック群10.3分とジェネリックが早い。
命令により握手するまでの時間、セボフルラン群15.4分、ジェネリック群11.9分。
考察では、ジェネリックは覚醒が早いと書かれているが機序については考察されていない。どう解釈するのかは難しいが、まったく成分が同じとすると水含有量の差が覚醒に影響すると考えるしかない。それもどうかと考えると成分が微妙に違う、あるいは体内での薬物動態が異なるということになる。いずれにしても両者は同等ではない可能性がある。
薬剤部の理解が得られれば、同様の検討を行ってみてはどうでしょう?