アストラゼネカのWeb Refresher Course
2012年 11月 20日
さて、放送後の質問で一部講義の内容で説明が十分でなかった可能性があるので補足です。
出血による血液希釈の問題です。
血液中ではプロポフォールの97%が蛋白と結合しています。しかし薬理効果は非蛋白結合のプロポフォールによるものです。出血や人工心肺などの血液希釈により蛋白濃度が低下すると非蛋白結合型のプロポフォールが増えて薬理作用が増強する可能性があります。
実際に、人工心肺で血液を2倍程度に希釈すると、血中濃度は変化しなかったものの非結合型のプロポフォール濃度は2倍に上昇したとの報告があります。
Hiraoka H, et al. Clini Pharmacol Ther 2004;75:324
長田先生との討論しましたように、膠質液1000ml程度の投与ではまず問題ないと思いますし、BISをモニターしていれば必要なら調節できると思います。
いろいろな状態でのプロポフォール投与の考え方は真興交易から出ている「麻酔薬の薬物動態」が詳しいですので御参照下さい。