日本医学シミュレーション学会
2012年 01月 09日
まず、JSA気道確保ガイドラインについての磯野先生の講演。ガイドライン自体は過去の記事を参照して下さい。一部私の気づきも入れています。
背景
ASA-DAMガイドラインは複雑
日本特有の状況がある
近年の多種多様な気道確保具
スガマデクスの登場
目標
麻酔を受けるすべての患者において酸素化を維持しつつ気道確保を行う。
1.日常の気道確保指針
2.気道確保アルゴリズムの単純明確化
3.生理学的な機序に基づく
換気の状態により分類(酸素化ではない)
グリーン:換気可能
イエロー:換気不十分 or 不可能、声門上器具を使用
レッド:声門上器具で換気不能、外科的気道確保
マスク換気では、
Triple Air Way Maneuverが重要
下顎前方移動、頸部後屈、開口
両手でマスク保持
麻酔導入時
カプノメーター装着、最適な頭位、体位、3分間酸素投与
マスク換気を確認してから筋弛緩薬投与は採用せず。
近年レミフェンタニルによる換気困難が多く筋弛緩薬投与で改善する可能性があること。スガマデクスの登場。
サクシニルコリンは筋の収縮により気道が拡大し換気を容易にする?
イエローに行く前に予定の気道確保を試みる(AWSを使用するとするとこのタイミング)。
ここでガイドライン作成に参考にした全国調査の紹介。
CICVは10万全身麻酔症例に2.1件
CICV発生時の死亡率は10%
パターン
緩徐型:直後はOK.気管挿管操作後に困難となる。覚醒と筋力回復が有効。
急速型:直後から換気不能。導入前からレミフェンタニルを使用していた症例が多い。覚醒を試みた症例では改善。筋弛緩薬投与で改善した可能性もある。
イエローゾーン以後は常に、
覚醒+自発呼吸再開が有効
麻酔導入役は短時間作用性がよい。
スガマデクス投与。
SGAは緩徐型では80%で有効。
急速型では43%で換気改善せず。
イエローゾーンでの換気改善の鍵はSGA挿入。
高い成功率のデバイスを選択。
Supremeかi-gelがよい。
換気が改善すれば時間的余裕ができる。
SGA経由での挿管
SGAで手術
ここではDAMの知識とトレーニングが必要(昨年よりDAM実践セミナーではSGA経由での気管挿管を重点)
レッドゾーン
CTM同定
キットによる輪状甲状膜穿刺
キットがなければ切開
キットについては直接穿刺がよい?(クイックトラック)
経気管ジェットベンチレーションは合併症が多く推奨しない(DAMセミナーでは現在も教えている。器具がすでにあり、習熟した麻酔科医がいれば試みてもよいだろう)。