超音波ガイド下CV穿刺の落とし穴
2011年 11月 11日
このところいくつか気になる記載が続いている。
「臨床麻酔」11月号には中心静脈カテーテルが右内頸静脈後方で頸横静脈に迷入した症例が報告されている。
この報告では超音波ガイド下に内頸静脈を穿刺、内頸静脈内に針が進むのを確認後ガイドワイヤーを挿入とある。またガイドワイヤーの走行を確認しなかったとも記載がある。
結局この穿刺では内頸静脈後方の頸横動脈穿刺になっていたようだ。穿刺の方法については記載がないが交差法だと思われる。こちらでも説明してきたように交差法はよく分かっていないと自分が思っているよりもはるかに深く刺入されていることがある。
この症例は交差法の原理を正しく理解することと、ガイドワイヤーの走行を確認することで動脈にカテーテルを留置することはなかったと思われる。針が静脈内にみえることと、針先が静脈内にあることは違うのである。いろいろ考察されているが正しく超音波ガイド下穿刺を行わなければかえって危険ということを十分理解する必要性が強調されるべきだと思う。
その意味で疑問を感じたのは、LiSAの座談会である。こちらも超音波ガイド下穿刺は当たり前という論調であるが、穿刺にはテフロン針を推奨している。針先の視認性という意味では金属針であるし、血管のど真ん中に針を誘導しガイドワイヤーを挿入すれば金属針で全く問題ない。その意味では超音波ガイド下CV穿刺というのは言葉だけが先行した概念なのかなと思わずにはいられない。