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超音波ガイド下CV穿刺を考える⑤

超音波ガイド下CV穿刺を考える。平行法に移る前に文献を紹介してみます。

まず、内頸静脈穿刺を平行法と交差法で比較している文献から。

Long versus short axis ultrasound guided approach for internal jugular vein cannulation: a prospective randomised controlled trial. Medical Ultrasonography 2011;13:21-25

内頸静脈の超音波ガイド下穿刺を平行法と交差法で比較した。

方法
99名の予定心臓手術患者を対象にして、平行法と交差法で超音波ガイド下内頸静脈穿刺を行った。
穿刺は、50例以上の超音波ガイド下内頸静脈穿刺の経験のある麻酔科医2名のうちの1名が行った。
穿刺はセルジンガー法で行い、超音波装置はソノサイトタイタン(6-10MHzのリニアプローブ)を使用した。

結果
初回穿刺での成功は、交差法で98%、平行法で78%であり交差法で有意に成功率が高かった。
施行に必要な時間は差はなかった。
交差法では動脈穿刺はなかったが、平行法では4%に動脈穿刺が起こった。

この研究では交差法が初回での成功率と動脈穿刺が少ないと結論している。ただ、穿刺を行っているのが2人の麻酔科医であり、施行者の技量とかこれまでの経験がどうかというのが問題であろう。50例以上経験しているとはいってもこれまですべて交差法で行っていれば結果はこうなるのではなかろうか?ということでこの研究はあくまでひとつの結果としてみたほうがよいだろう。

実際に麻酔 2009;58:760では超音波ガイド下内頸静脈穿刺での合併症として、2例の動脈穿刺と1例の気胸を報告している。いずれも交差法で行われており交差法であっても動脈穿刺がおこりうるのはこれまで説明した通りである。

この報告では、施行者の経験不足を原因として挙げているが、試行回数とともに期間も問題ありだと思われる。例えば、経験1年で症例数15例(症例1)では結局1ヶ月に1例程度しか経験していない。これでは超音波ガイド下の技術が身につくとは思えない。1度この技術を身につけようと思ったらすべての症例を超音波ガイドで行い、できるだけ短期間に症例数をこなす(しかも経験豊富な指導者の下で)こと重要である。
by yamorimo | 2011-07-29 21:27 | 中心静脈穿刺
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