超音波ガイド下CV穿刺を考える②
2011年 07月 15日
今回は交差法の鉄則について説明します。
交差法で穿刺するにはいくつかの鉄則があります。
重要なのは、
超音波プローブが血管の走行に対して直角に当たっている
穿刺針は超音波プローブに対して直角に穿刺している
その結果として穿刺針と血管は平行になっていることなどです。
また、血管はできるだけ直線的に走行している場所を選ぶ必要があります。
図の上部は、穿刺部を上から見下ろした状態です。上記の2つの鉄則が守られている状態です。
この関係になっているかどうかは、プローブを末梢や中枢に平行移動したり、傾きを変えても超音波画像上血管の位置が変化しないことで判断できます。
下段左は、穿刺部を横からみた状態、右は超音波画像です。
平行法では、針は超音波ビームと針の交点でのみ点状にみることができます。ただみえているのが針先かどうかは分かりません。Aの状態は針の刺入点はいいのですが、これでは針は超音波ビームの末梢で血管にヒットします。そこで刺入角度を変えてBのようにすれば理想的です。
では血管の走行に直角に当たっていないとどうなるでしょうか?プローブに直角に穿刺すると血管に斜めに針が刺入されます。
この場合、血管に正しく針が向かっているようにみえて、実失敗する可能性があります。隣に動脈が走行していれば動脈にヒットします。これはプローブは正しく置けているに穿刺針が直角でない場合も同様です。
これもよくみられる例です。
穿刺してみるとAのように血管を外れていることが分かることはよくあります。この場合、Bのように斜めに血管に向けるのではなく、Cのように刺入点を移動します。
内頸静脈は皮膚からの距離が1cm以内のことが多く、これらの鉄則を守らなくても通常は成功します。しかし、これらの理解していないとより深部の血管へのアクセスは困難だったり、危険ということになります。
一度だけ、大腿静脈が完全に動脈の裏側にある症例で斜めに穿刺して動脈をかわしたことがあります。今考えると、平行法で傍正中法的にアプローチすればよかったと考えています。
このように交差法は、一見簡単そうですが、実は難易度の高い方法でもあることが分かります。