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電脳麻酔ブログ

日々読んだ論文の要約とAIの臨床での活用法について

レミフェンタニルの話題など③

レミフェンタニルに関する最近の話題。近年オピオイドによるプレコンディショニング効果が注目されている(例えばLiSA 2010;17:1168を参照)。この研究はレミフェンタニルの前投与による肝臓の虚血再灌流障害の軽減効果を検討している。

Remifentanil preconditioning reduces hepatic ischemia-reperfusion injury in rats via inducible nitric oxide synthase expression. Anesthesilogy 2011;114:1036

ラットの肝臓虚血・再灌流障害モデルを用いてレミフェンタニルの効果を検討した。また、レミフェンタニルのプレコンディショニングへの一酸化窒素の関与についても検討した。

グループ
レミフェンタニルの前投与群
ナロキソンの単独あるいはレミフェンタニルとの併用
L-アルギニンの単独あるいはレミフェンタニルとの併用
L-NAMEの単独あるいはレミフェンタニルとの併用

結果
レミフェンタニルあるいはL-アルギニンは虚血再灌流後の、ALT,ASTの上昇を抑制し、TNFα、IL1の上昇を抑制した。一方、NOx、SODは有意に上昇した。組織学的な障害やアポトーシスの減少も確認された。レミフェンタニルのプレコンディショニング効果は、L-NAMEの投与で抑制されたが、ナロキソンでは抑制されず、一酸化窒素合成系の関与が考えられた。

(私見)
近年レミフェンタニルによる手術中のストレス反応や炎症反応の抑制効果が示されているが、本研究ではさらに虚血・再灌流後の臓器保護効果が期待できることが示唆されている。臨床でも術後の検査データをエンドポイントにして、レミフェンタニルの用量を変えて検討してみるなどを行ってみてはどうだろう。
by yamorimo | 2011-06-16 00:16 | 麻酔

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