麻酔科医ハナにガムエラスティックブジー(GEB)を使った挿管が描かれていましたが、意外にもマンガではじめて知ったという声が多かったので改めて紹介してみます。
近年はAWSの普及でその有用性が下がってしまったものの、GEBは最も簡便で応用の利く方法です。 AWS、GEB、LMAと気管支ファイバーがつかえればほとんどのDAMには対応できると思います。 適応としては、コルマック分類のグレード2から3。喉頭蓋が完全にみえないと成功率は落ちるのでそうなるとAWSの出番です。 ![]() 長いので一部のみですが、これはスミスメディカルの製品です。その他クックからも出ています(輪状甲状膜切開キットと同様)。これは練習用なので曲がっていますが、新品はまっすぐで先だけ少し曲がっています。使用前に丸めておいてこのように少し曲がりクセを付けておきます。 では実際の動画です。これはシミュレーターなのでコルマックグレード2くらいにして挿入しています。声門があると思われる場所、グレード3であれば喉頭蓋の裏側を巻くようにすすめていきます。 GEBが気管に入ったことは、進めるとに気管前面の軟骨部に当たるコツコツというクリックと、30-40cm挿入するとそれ以上進まなくなる(distal hold up sign)ことで判断できます。 この動画はATQでの併用例でいつも使っていますが、クリックがよく分かります。この例のように、AWSやATQを使うときも、孫の手的にGEBが有効です。特に真っ直ぐなスパイラルチューブでは必須(というかこちらの使用法がメインになっている?)です。 GEBが気管内に入ったらこれをガイドに挿管チューブを挿入します。喉頭鏡はかけて軽く喉頭展開しておきます。この動画は声門がみえる位置で通過をみています。通常のチューブは右の披裂部や声門に先端が当たってしまうことが多く通過しにくくなります。この場合は、少し引き抜いて反時計回りに90°回転すると挿管が容易です。あとはGEBを引き抜いて、通常と同様に挿管を確認します。 こちらはパーカーチューブの使用例です。さすがにパーカだと挿管はスムーズです。DAMにはパーカーといえると思います。 ![]() こちらは先端が曲がっていない、チューブエクスチェンジャーです。挿管チューブの交換に使います。これはクックの製品ですが、同様にスミスメディカルからも出ていますし、最近バリエーションが増えたのでいくつか持っておきたいグッズです。 クックの製品にはコネクターが付いています。チューブエクスチェンジャーを残して抜管したが、再挿管が必要になった。ところが、浮腫が強いのか挿管チューブが入らない。どんどん低酸素ということき、このコネクターを付けて換気を試みることができます。麻酔回路やアンビューにつながるコネクターとジェットベンチレーターにつながるコネクターの2つがあります。 先日の事例です。 脳外科病棟から、SAH術後1週間の患者を抜管したが再挿管が必要ということで緊急コールを受けました。 ATQで観察すると、声帯が浮腫状でほとんど開いていない感じ。GEBは通過しましたが、6.5のチューブでもかなり抵抗がある。なんとか換気できるので、胸写を撮ってみると挿管チューブが写っていない(浅すぎる)。 そこで再度チューブエクスチェンジャーを挿入し、パーカチューブの6.0を入れてみると抵抗なく挿入できました。 もちろん、通常のチューブでも6.0だとよかったのかもしれませんが、やはりDAMにはパーカーという症例だったと思います。また、このようにいろいろなグッズに精通しておくことが必要になります。 ということで、当院のDAMセミナーの模様です。昨日の輪状甲状膜切開キットを練習してもらっています。 ![]()
by yamorimo
| 2011-06-04 23:37
| DAM
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