術中覚醒シンポの個人的なまとめ①
2011年 05月 26日
今回の演者は、
私:疫学
Yamakage先生:原因
Kiyama先生:モニタ
Tsubokawa先生:総括
という感じで進んでいった。当然ながら、疫学とはいってもそこには原因がありモニタがある。逆もまたしかりということで最初の3人の内容はそれなりにかぶりながら、最後に総括となった。何度もこの手のシンポジウムに参加されている先生には物足りない部分もあったかもしれないが、若手の先生方には問題点などが浮き彫りになったのではないだろうか。
私の部分の要約だが、
術中覚醒(記憶)とは、手術中の意識(知覚など)の明らかな(顕在性の)記憶である。
術中覚醒の頻度はおおよそ0.1-0.2%程度である。
術中覚醒の診断はしばしば困難であり、少なくとも術後3回のインタビューが必要である。術後30日くらいして術中の記憶が出てくることもある。
記憶の内容としては、音が最も多く、その他恐怖、手術の詳細、不動など、痛みは40%程度で比較的少ない。
術中覚醒の多い手術としては、心臓、帝王切開、外傷などがある。小児は診断が困難であるが成人の数倍の頻度であることが分かってきた。
その他、患者の要因(薬物、術中覚醒の既往)や低心機能、低肺機能などでリスクが高い。
我々の行ったアンケート調査では、日本での術中覚醒のリスクファクターとして、TIVA、女性、頭頸部手術などが明らかとなった。
また、冒頭に5年前の手術で術中覚醒を経験し、現在も手術を受けることに恐怖感を持っている方の事例を紹介し、改めて術中覚醒に注意が必要であることを訴えた。
なお、抄録には新たな術中覚醒に関するアンケート調査を行うことについて記載していたが、今回の震災により中止したことを説明した。