全身麻酔中の脳波変化⑦
2011年 04月 03日
EEGの波形を正しく評価する技術が必要である。この技術は科学とアートの両面がある。麻酔科医は麻酔導入前から脳波の測定を開始し、麻酔導入時と侵害刺激への変化を観察する。侵害刺激は、qEEGの数値を変化させない、増加、低下のいずれかの反応を示す。侵害刺激レベルの変化による脳波変化はすみやかであるが、数値が変化するには少し遅れがある。次の点に注意する。
1.qEEGモニタを使うときは、これらの点を繰り返し確認する
qEEGの数値は、患者の状態、麻酔薬の投与量、そして侵害刺激レベルにより決定される。
qEEGの数値は脳波波形により決定される。
2.もし波形と数値に解離があるときは、以下の点を確認する
モニタは正常に作動しているか?
頭部外からの干渉はないか?
頭部であっても脳外からの干渉はないか(筋電図など)?
脳内での干渉はないか(比典型的な脳波など)?
EEGモニタリングシステム
電極のインピーダンスや電極間に液体での短絡がないかなどを確認する。多くのEEGモニタは自動的にインピーダンスチェックを行う。
頭部外からのアーチファクト
これらのアーチファクトには、電気的なノイズ、ペースメーカー、心電図、電気メスやその他の手術手技による。電源系のノイズは最も大きな原因である。
場合によっては、手術手技を中止したり、問題のありそうな機器の電源を切ることで確認する。BISモニタはいろいろなノイズ除去を内蔵しており、まばたきや心電図のR波を除去することができる。電気メスなど多くの干渉はqEEGIから除去される。信頼できる脳波の割合は、BISモニタではsignal quality index(SQI)で示される。
平坦脳波時の高周波数のノイズはアーチファクト除去で除かれるが、もし除去がうまくいかないと、qEEGIは高値になり覚醒状態を示すかもしれない。この状況を麻酔科医が理解できないと、すでに深すぎる麻酔状態をさらに深くしてしまう。
つづく