セボフルラン vs デスフルラン⑤
2011年 02月 14日
Anesth Analg 2010;111:92
臨床使用上の差については昨日紹介したが、セボフルランとデスフルランで大きな違いがある点が環境への影響である。
この文献では、デスフルラン,イソフルラン、セボフルランを環境への影響の面から比較している。
代替フロンなどと同様に揮発性麻酔薬は地球温暖化効果を有している。この効果は、イソフルランがCO2の1401倍、デスフルランが3714倍であるが、セボフルランは349倍である。
環境でのデスフルランの半減期が10年なのに対してセボフルランは1.2年と短い。
これらの結果から、20年間の地球温暖化効果はセボフルランが349、デスフルランが1401である。
流量2L/min、1MACで維持した際のCO2相当量は、セボフルランが6980g、デスフルランが187186gであり、デスフルランがセボフルランの26.8倍である。さらに60%の亜酸化窒素を併用した際は(おそらくセボフルランとの合計で1MACになっている計算)、CO2相当量はN2Oを併用しない際の5.9倍になるが、デスフルランでは0.4倍になる。
但し、N2Oにはオゾン層破壊効果もあるので環境面からは相殺される。
環境の面からは、セボフルランがデスフルランに比べてより優しい麻酔薬といえる。また亜酸化窒素の使用を避けること、不必要な高流量を避けることも有用である。
このテーマは最近のA and Aに総説が掲載されている。
地球環境の面からはTIVAが電気自動車、低流量セボフルラン麻酔がハイブリッド車くらいの感覚だろうか?
もちろん電気をどうやって作るのかと考えると電気自動車が必ずしも地球に優しいとはいえないのは麻酔薬も同様である。