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全身麻酔中の脳波変化⑤

Sedated-Becoming Anesthetized

鎮静薬の濃度が上がるにつれて脳波は変化する。
最初は、β波の振幅が大きくなる。
より深い鎮静状態になるとβ波は、睡眠紡錘波/α波になり、さらにθ波のレンジの徐波になる。
Figure2, 3, 4を参照。

その他の徴候としては、眼球運動の消失や筋電図の消失そして、全体的な脳波の徐波化がある。これらの変化は容易に理解できる。患者が意識消失した直後は脳波の基線は変動しないが、麻酔深度が深くなるとゆっくりとしたδ波が脳波の基線を変動させる。

Box2
睡眠紡錘波:spindle like activity

プロポフォールや吸入麻酔薬はGABA受容体に作用する。これらの薬剤はGABAの抑制作用増強し、大脳皮質や視床での活動電位の形成の抑制や過分極を起こす。このパターンは睡眠時と同様である。
大脳と視床のニューロンはcortico-thalamocortical connectionにより強く関連している。このため視床での活動が皮質に伝えられ脳波として記録できる。cortico-thalamocortical circuitでのニューロンの過分極により、視床のニューロンは持続発火モードから群発的な発火モードへ変わる。脳波上は7-14Hzの短時間の群発活動としてとらえられる(Figure3,4)。睡眠状態では、このような波は睡眠紡錘波とよばれ、自然睡眠の始まりの徴候とされる。同様の紡錘波が麻酔時にもみられる。紡錘波は視床から皮質へ、あるいは逆に伝えられる。この脳波は脳全体でみられ、前頭部での脳波でも検出できる。睡眠と同様に紡錘波がみられることは、麻酔薬により意識消失していることを意味する。

追加
ここではFugure4の波形が重要です。
その他の波形の例はこちらからみることができます。
by yamorimo | 2011-02-06 22:34 | 電脳麻酔学入門
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