レミフェンタニル麻酔後の疼痛コントロール
2010年 11月 10日
British Journal of Anaesthesia 2010
臨麻のランチョンで図らずも2人の演者が紹介したのがこの論文。
レミフェンタニル麻酔後の疼痛コントロールについてプロポフォールとセボフルラン麻酔で比較している。
対象と方法
214名の予定乳癌手術患者を対象。
セボフルラン群とプロポフォール群さらに各々をレミフェンタニルhigh dose群(4ng/ml)とlow dose群(1ng/ml)に分けた。つまりSH群、SL群、PH群、PL群の4群に分けた。
セボフルランとプロポフォールはBIS40-50を目標。
手術終了30分前にモルヒネ2mgを投与して、あとはiv-PCAで投与。
術後疼痛の状況、モルヒネ使用量、PONV、シバリングの発生を比較。
結果
術後のモルヒネ使用量、VASともにSH群で有意に高かった。
PONVはPL群で有意に低かった。
シバリングの頻度はPH、SH群でPL群、SL群とくらべて高かった。
考察と私見
この研究でのH群はレミフェンタニル4ng/mlを目標にTCI投与しているがせいぜい0.2μg/kg/minと決してhigh doseになっていないところが面白い。従ってせいぜい中等量というところだが、結果としては低用量とくらべてセボフルランとの組み合わせでは術後痛が強いという結果になっている。筆者らはレミフェンタニル投与後のhyperalgesiaがプロポフォールでは抑制されたためと考察しているがどうだろう。
一方でシバリングに関しては、high doseのレミフェンタニルではプロポフォール、セボフルランともにlow doseよりも多かったという結果になっている。レミフェンタニル以外に投与されているオピオイドは、モルヒネ2mgなのでtransitional opioidとしては少ない。乳癌手術後のVASが4cmくらいあるので、麻酔のデザインとしてやや問題があるようにも思われる。
いずれにしても今後レミフェンタニルのベターなパートナーは何かということがポイントになってくるだろうからこの論文は目を通しておきたい。
まったく余談だが、今回の学会では論文をスキャナーで読み込んで貼っただけというプレゼンが目についた。
分かりやすいプレゼンを目指すのであれば自分でグラフを書き直したり、せめてカラーで補助線などを追加すべきである。