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電脳麻酔ブログ

日々読んだ論文の要約とAIの臨床での活用法について

日本静脈麻酔学会②

静脈麻酔学会の続き。

SH先生の講演をAudioNoteでのメモを中心に紹介する。さすがに音声ファイルはここでは公開できないのでご興味あれば個人的に連絡して下さい。

麻酔薬の組み合わせと脳波

侵害入力と脳波

脱同期
低振幅速波化する
しかし、大きなδ波が出現することがある(Paradoxical arousal)この場合はBISは低下する。

これらの変化はフェンタニルで抑制
フェンタニル単独(3マイクログラム/kg)では脳波変化ないので、侵害刺激を抑制して脳波変化が起こらなかったのだろう。

レミフェンタニルとBIS
Koitabashi先生のデータではレミフェンタニルはdose dependentにBISを低下させる。
しかし、血圧、心拍数ともに低下しており循環動態の変化も考えられる。

心拍出量の変化→プロポフォール濃度の変化(レミフェンタニルで心拍出量が低下するとプロポフォール濃度が上昇する可能性)

循環作動薬で循環変動を補正するとBISは変化しない、しかしSEFは変化する。レミフェンタニルの開発時にはこのような高用量のレミフェンタニルは考えられていなかったのだろう。

レミフェンタニルで脳波の振幅は減少する(プロポフォールだけ、セボフルランでは減少しない)。

ミダゾラムではレミフェンタニルで振幅増化。これはフェンタニルとは異なる

オピオイドとBIS
Glass Anesthesiology 1997,86,836
オピオイド単独ではBISは変化しない。

Isobologramの問題点
血圧も心拍数も変化しないのに覚醒?
(Isobologramについては自分の演題でN先生とも議論になったが私はあまり重視していない)

Schraag Anesth Analg 2006,103,902
オピオイドを使用するとLOCのプロポフォール濃度は低下。しかし、このときAEPは差がある。つまりオピオイドの併用で就眠に必要なプロポフォール濃度は低下するとしても、鎮静度は??

ケタミンについて。
Tsuda Acta 2007,51,472

プロポフォール+ケタミン
速波、10Hzのピークなくなる

ケタミンのみ
速波

プラスIsoでは
振幅が拡大する。

亜酸化窒素
ISOプラス亜酸化窒素
初めはデルタ波
その後低振幅になる。

質問、K先生
年齢は?
高齢者では波形をみながら濃度を上下してみる

私見
勝手ながら私見というかコメントしてみる。
今回SH先生が強調されたのは複数の麻酔薬を組み合わせた時の脳波変化は予測不能のことが多く、解釈には注意が必要という点だと思う。
特にレミフェンタニルとの併用では注意が必要である。レミフェンタニルを高用量使用すると低振幅となり解釈は難しい。このときにBISが低値だからといって、併用するプロポフォール濃度を低下させるのは危険であるということを強調された。
臨床麻酔学会ではこのコンセプトを元に安全なTIVAの方法について講演してみたいと思っている。
by yamorimo | 2010-10-31 20:17 | 麻酔

by yamorimo
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