日本静脈麻酔学会
2010年 10月 31日
昨年の一般演題は10題程度だったが、今年は20題と盛況であり、新しい施設からの演題もみられた。静脈麻酔自体が一般的になってきたということだろう。
まず、併開されていた青森臨床麻酔研究会での柳沢先生のオレキシンについての講演を聴いた。
こちらの方です。また検索してみるとこんな文献もみつかった。
オレキシンは視床下部の神経細胞により生産され、摂食行動を促進し、空腹時には食欲を増進させる。また、オレキシンは睡眠や覚醒の制御にも重要な働きをすることが知られている。
オレキシンが関連している疾患としてナルコレプシーがある。ナルコレプシーは覚醒状態を維持することが困難になる疾患で、この病態にオレキシンの欠乏が関与している。
オレキシンの欠乏には自己免疫疾患であることが考えられるが詳細はまだ分からない。
動物実験ではオレキシンの投与でオレキシン欠損マウスで覚醒状態を増加させる。オレキシンはナルコレプシーの治療薬として期待できるが、BBBを通過しないので実際の臨床応用はまだ行われていない。
麻酔薬ではイソフルランやセボフルランはオレキシンを減少させる。
ナルコレプシーでは覚醒遅延が起こる?(報告はない?)
(追記)
最近ナルコレプシーの患者を麻酔したが、通常中枢神経興奮薬を内服しており、治療中の患者であれば問題ないと報告されている。むしろ治療薬の作用で覚醒しているのでは?と危惧しながら麻酔した。
次回はSH先生のランチョン。