セボフルラン vs デスフルラン③
2010年 10月 24日
これまでにデスフルランの強みは長時間の麻酔であることをシミュレーションで示した。
これまではあえてセボフルランの維持濃度をほぼ1MACで行った。それで実態に合わせてセボフルラン1%で6時間維持したときのシミュレーションを追加してみる。
6時間麻酔後のVRGの濃度を前回の1MAC維持時と1%で維持で比較してみる。
この条件であれば麻酔終了後約10分でVRGは0.4%まで低下し、0.1MACまで低下するのは30-40分後と前回のデスフルランの1MAC維持と同程度になる。
分かりやすいように、今回の2つの条件とデスフルラン1MACで維持時の覚醒時のVRGの濃度をMAC比で示してみる。
やはりセボフルランを1%で維持すれば、長時間の手術であってもデスフルランと同等の覚醒が得られることが分かる。もちろん、デスフルランもより低濃度で維持すればさらに覚醒は早くなるだろうが、導入当初は少し高めで維持するだろうと予想される。
デスフルランを使って覚醒が早いと感じられるかどうかは現在のセボフルラン麻酔の状況によって異なるかもしれない。セボフルランをレミフェンタニルや区域麻酔を併用して1-12%くらいで維持している人にとってはデスフルランを導入してもそれほど恩恵を感じられないかもしれない。一方、1MACくらいは使用しないとと思っている人はデスフルランの恩恵を感じられるだろう。
現段階では、デスフルランが必要な施設は、日帰り手術が多い、脳外科の未破裂脳動脈瘤など(もちろん電気生理との兼ね合いがあるが)長時間の手術であっても良好な覚醒が望まれる症例が多い施設などになるだろう。
今回でシミュレーションはとりあえず終了して、いくつか論文を検証してみる(さすがに臨床麻酔学会後になります)。