ブリディオン発売記念講演会

この種のイベントをみておくのもいいだろうと思いブリディオン発売記念講演会に参加した。
小雨の東京は寒くコートを着ている人が多かった。

まず、東邦大学の小竹先生。これまでの筋弛緩薬拮抗における課題と今後について。

これまでは抜管時の筋弛緩の回復はTOFRで0.7程度が目安だったが現在では0.9が目安となっている。

これは残存筋弛緩薬によるupper airway compromiseとchemoreceptor dysfunction(A and A 1999;89:243)が注目されてきたことによる。
PACUにおけるcritical respiratory eventが発生したのはTOFR<0.7の症例だった(A and A 2008;107:103)。

ロクロニウム使用時のTOFR<0.9である頻度は日本での他施設研究では22%であった。残存筋弛緩がみとめられた症例は手術時間が長い、高齢などの要因があった。
この頻度は海外でも同様である(Anesthesiology 2003;98:1042)。

これまでの筋弛緩薬の拮抗は抗コリンエステラーゼ剤を使用していたがいくつかの問題点がある。

深い筋弛緩状態では作用が不十分
完全な拮抗までに時間がかかる
至適投与量の決定が容易ではない
ムスカリン作用

抗コリンエステラーゼ剤の作用には天井効果があり、投与量を増加させても無効となる。
報告では70μg/kgで天井効果を示した(Anesthesiology 1990;73:410)。

拮抗には麻酔科医の感覚よりも時間がかかり、TOF2で拮抗すると17.6分必要である。

投与量が少ないと不完全拮抗や再クラーレ化の危険がある。
一方で過量投与では脱感作ブロック(筋弛緩の完全回復時に抗コリンエステラーゼ剤を投与すると筋力低下)を生じる(Anesthesiology 2007;104:621)。

Review(A and A 98:102)では、
パンクロニウムは使用しない
筋弛緩モニタの使用を推奨
T1が消失するような深い筋弛緩状態は回避
拮抗薬投与を省略しない(TOFR>0.9では省略)
TOF2 or 3を確認してから拮抗

質疑ではネオスチグミンの投与量としては脱感作ブロックのことを考えるとmax70μg/kgだろうとのコメント

長くなったので次回に続く(臨床モニター学会の報告はその後に)
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by yamorimo | 2010-04-24 23:57 | 麻酔
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