TIVA再入門その⑧
2010年 03月 19日
今回は、プロポフォールのLORと覚醒時の効果部位濃度に解離がある場合について考えます。
ひとつの典型的な症例の経過を示します。
この患者のように比較的若い男性の場合、麻酔導入時に多弁になってなかなか就眠しないケースではLORでの効果部位濃度がかなり高くなり、覚醒時と解離している場合があります。
原因はよく分からないのですがひとつの要因としては患者の不安が考えられます。患者の不安が強い症例ほど就眠に必要なプロポフォール濃度は高いことが報告されています(J Korean med Sci 2003;18:863)など。
いずれにしてもプロポフォールの効果部位濃度が3μg/mlでも就眠しないケースでは、私の場合はセボフルランに切り替えます。このような症例ではプロポフォールへの感受性が低いか、あるいは上記の状態で就眠にい必要なプロポフォール濃度をうまく評価できない可能性、さらには体重などの入力ミスの可能性があります。最近の症例では電子カルテへの体重の入力ミスで10kg低くTCIポンプに入力していたケースがありました。TIVAをやるには術前に自前の体重計を持参する必要があるのかもしれません。
いずれにしてもLORでのプロポフォール効果部位濃度を基準にしながらもいくつかの可能性を頭に入れておく必要があります。
この後の修正はBISモニタを使用します。
その前に、麻酔導入時のレミフェンタニルの使用について次回説明します。